バロウズ

ある少年の告白のバロウズのレビュー・感想・評価

ある少年の告白(2018年製作の映画)
3.8
同性愛矯正施設の実態を暴いたノンフィクションを「ザ・ギフト」のジョエルエドガートンが映画化した作品。
ルーカスヘッジス演じる主人公はキリスト教徒の両親に同性愛者であることをカミングアウトしたことで矯正施設に入れられるが…。

そもそも同性愛を「矯正」とか「治療」とか言うのはバカげた考えなんだけど、同性愛は罪だから神に許しを乞えば治る!と本気で信じているキリスト教の人たちが大勢いるのも事実。

ラッセルクロウ演じる父親は牧師で毎週日曜になると教会に出向き説教をするような根っからのキリスト教徒。
ニコールキッドマン演じる母親は同性愛者の息子と信仰深い夫との板挟みになり苦難する。
淡々とした語り口、繊細な人間模様、画面や音楽から醸し出される不穏な空気は「ザ・ギフト」にも共通していると感じました。

矯正施設と言っても中はほとんど刑務所。持ち物は没収され、他者との接触は握手のみ、会話も最低限、トイレも監視される。
そして「施設や治療については外部に漏らしてはならない」という事。これって施設で何が行われているか知られたらヤバいって分かっててやってるって事ですよね。

ジョエルエドガートン監督自ら演じるセラピストは「同性愛者になったのは家系や自らが潜める怒りのせいだ!」と勝手に決めつける。
今までの罪を告白すれば神は許してくださる!と、自分の犯した罪を参加者の前で告白させるんだけど、ほとんど公開処刑に近い。
「彼女が私のアソコに手を入れてきたので、私も彼女のアソコに手を入れて…」とか事細かに読み上げさせるんだもん。
それができないと「お仕置き」が待っている。
同性愛は悪魔の仕業だ!悔い改めよ!とか何とか叫びながら、エクソシスト気取りの連中が同性愛者の青年を聖書でバシバシぶっ叩くシーンは強烈。どう見ても洗脳、集団リンチ。
そんな中世みたいな事がつい最近(もしかしたら今でも)行われていたというアメリカの闇。
LGBTQの権利が浸透してきた現在ではさすがにここまでの事は行われていないと信じたい…

エンディングに字幕でさらっと衝撃の事実が明らかになりますが、確か同性愛を嫌悪する者ほど同性愛の傾向が強いとの研究があったと思いますがやっぱりそういう事だったんでしょうか。
バロウズ

バロウズ