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不感症になっていくこれからの僕らについてのtetsuのレビュー・感想・評価

3.4
とある機会があり、鑑賞。

地元に帰ってきたスランプのミュージシャン。小学校時代の女友達と数年ぶりに再開した彼は、かつての故郷が変化していくさまに思いを巡らせるが...。

子供の頃のように単純な感情が失われ、自分の感情が分からなくなるさまに、とても共感した。
大人になることは思考や判断の選択肢が増えていくことであり、それも、ある程度、受けとめるべきなのかもしれないとも...。

「歌を作ること=大切な瞬間や感情を『形』として残すこと」と考える主人公の姿が印象的で「自分に深く根づいた経験(もしくは感情)を作品に残したい」という彼のスタンスにも共感した。
自分自身も映画の文章を書くときはできるだけ、その様に心がけていたので、作品作りにおいても、それが重要なことを知ることができて良かった。
また、そんな登場人物の姿は品田さんの映画作りのスタンスに通ずるのかもしれないとも思う。

意外と練られたストーリーも秀逸。
察しの良い人はOPの時点で気づくかもしれないが、物語中盤まで、あえて語られない登場人物のある事実が、見事に主人公の成長に繋がる展開が見事だった。

ただ、唯一のひっかかりは、満を持して披露される主人公の歌が、なんとも言えないクオリティであること...。
正直、彼が予想外の歌声すぎて、ちょっと笑いが止まらなかったです。
本当に申し訳ない。
とはいえ、僕が、ただ単に好みでなかったかもしれないので、気になる方は是非、自分の耳でお確かめください。笑

参考
the face 品田誠 特集上映
https://indiesfilmshow.wixsite.com/theface-shinada
(3/9.10の2日間、本作を含めた彼の作品が関西で特集上映されます!ぜひ!!)
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