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暁に祈れのtakatoのレビュー・感想・評価

暁に祈れ(2017年製作の映画)
4.1
人生の象徴としての監獄、あるいは人生における目的と意味の重要性に関する考察。

本作を見てて思ったことは、コリンウィルソン氏の本に書かれていたことである。人間は、目的と意味を見失うと無に近く、水が高きから低きに流れるようにドンドン駄目になっていき、不毛感あるいは虚無感に囚われていく。

知性的、あるいは人格的に成熟している人間ならそこまで危険はないが、それらが弱い人は肉体に負荷をかけて酒や性、最悪だと薬物に手を出して破綻にいたる。本作の主人公は駄目人間で、明らかに後者でドンドン落ちていく。しかし、「明日のジョー」のごとく獄中でムエタイという人生における集中の象徴を手に入れることで前進し、人間的にも変わっていく。これらの重要性を本を読んだだけよりも物語という形を通して見ることで、より切実な真実として感じられた。

地獄巡り映像だけど、全般的に映像が凄くしっかりしてるし、台詞が少なく、囚人たちもただ怖いだけじゃないのも良い。なによりラスト!。実際に起こったことベースの作品はよく見るが、いつも通りかと思ったらやられました。
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