ビリーはタイでシャブに溺れていたところで逮捕され刑務所にぶち込まれる。しかしそこは我々が想像する範疇を遥かに超えた地獄そのものだった。顔にまで刺青を彫った外道たち50人以上がすし詰め状態で不衛生に雑魚寝し、レイプに暴力は当たり前。さらに看守が囚人にドラッグを売りさばき更生の余地は無し。ビリーはさらに廃人になるが、所内のムエタイチームと出会う…な話
これ、めちゃくちゃ面白かったな…。元ボクサーが地獄の刑務所で人間性を剥奪された最悪な日々を過ごし、あと一歩で死ぬところでムエタイクラブと出会い、少しの希望の光を灯すストーリーで、実話とのこと。タイの刑務所、まじでやばすぎる…絶対に入りたくない…。全編を通してビリーだけに焦点を当てて描いていくんだけど、その淡々とした撮り方がものすごく印象的だったな
ドラマチックなカメラワークで見せる…とかじゃなく、本当にただそこにある事実をあるがままに描写してるような、何の感情のない見せ方。これが逆に刑務所の地獄さ・理不尽さ・地獄さが表現されて、目を背けることができませんでした（地獄さを2回書いてしまうほどの地獄）。ビリーはタイ語が分からないのでみんな何を言い争ってるのか謎だし字幕もつかないのも怖い！
そんな地獄のような日々の中で屈強な体を持つビリーもシャバよりもさらに依存する薬物中毒に蝕まれて徐々に心身ともに衰弱していくんだけど、その中で空を見上げるビリーの瞳の中で、重なった鉄格子が十字架みたいに映ったのがかなり記憶に残りました。とにかく全編説明セリフをほぼ排除している中で、ビリーの神にでもすがりつきたい感情を見事に表現してるような気がしましたね。深読みかな？いや〜それにしてもこれはエモーショナルでパワフルで凄まじかった。同じ世界とは思えないぐらいタイの刑務所がやばすぎるあまり、ムエタイバトルがオマケでしかないほど。オススメです
