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ぼくらの七日間戦争2の教授のレビュー・感想・評価

ぼくらの七日間戦争2(1991年製作の映画)
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前作を観直した理由は、本作を観返すためで。本作を観返す理由は、僕個人にとっての、少し屈折した思春期の体験に紐づいた作品だからだ。
と、いうより「主演」を務めた「渋谷琴乃」史観についてしか本作について語ることがない。

まず、映画として本作はお粗末以上のものがない。
前作の「なぞり」であり。似たような風貌の新人俳優たちを集めながら全くキャラクターを描き分けることもしていない。そのために役名で呼び合いながらも、誰が誰やら判別できない。
一方でコメディ的な演出過多のせいで佐野史郎、鶴田忍、笹野高史らは「最低限度」画面を持たせるプロフェッショナルさで実に気楽にやっている。
そして若さゆえに妙に殺気立っている内藤剛史によって大人たちがあまりにもバイオレントになり過ぎていて品がない。

ただし。
早過ぎた天才と呼びたい渋谷琴乃。
もしくは僕個人に限っては「天才女優」と呼べるのは渋谷琴乃だけだ、と思いたいほど。
そして本作で初めて彼女の演技を見てから、初めて「ファンレター」というものを書き、僕の人生において唯一「推し」となり、出演作は知り得る限り全てチェックし、雑誌の切り抜きをコレクションし、CDを買い漁った大ファンとして、僕の10代は彼女と共にあった。

そして20代以降はそこまで熱狂はしなくても、それでも現在に至るまで数年おきに必ずマイブームが来るほど、彼女のことを追いかけ続けている。
そしてもう一生観ることがないと思いながら本作を観ても尚、特に冒頭の演技力のたかさ、表情や視線における「受け」の芝居の的確さは、本作の中で、贔屓でもなんでもなく「天才」である。

セリフではなく、まさに表情と視線において、そしてその演技の自然さによって、あまりにさりげなく、時代が気付くことができなかった「才能」について、僕は一生彼女のことを記憶し続けるだろうと思う。
というこれまでのレビューで一番ムキになって語っておきたい。
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