回想シーンでご飯3杯いける

奏でよ、インターナショナルの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.9
軍事政権による厳しい言論統制下にあった'80年代のトルコを舞台にした作品。今までに観たトルコ映画同様に、本作も人間味の強いドラマ性と、ハッとさせられるような展開が魅力的だ。

結婚式などで演奏する音楽団のメンバーとして働く父が、軍の規制により活動を禁じられ、右翼政権を讃える楽団として働かされる事になる。一方で、彼の娘は反体制力の男に恋心を抱き、仲の良かった父娘の気持ちも自然と離れていき、、、、という話。

市民の生活をコミカルに描く前半部分は「ライフ・イズ・ビューティフル」を思わせ、音楽愛がイデオロギーによって分断される後半の展開は「スウィング・キッズ」を思わせる。

トルコが舞台という事で、ホロコーストや南北朝鮮問題のように、私達が詳しく知る史実を扱っているわけでは無いので、鑑賞にはそれなりの集中力が必要となるが、心に強く残る反戦映画であった。俯瞰視点によるカメラ・ワークが効果的に挿入されるのも印象に残った。