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戦争の序曲~大戦前夜のsumiccoのレビュー・感想・評価

戦争の序曲~大戦前夜(1942年製作の映画)
3.5
映画鑑賞史上
最大級の衝撃です。

1942年、アメリカ製作。
なぜ第二次世界大戦をするのか?の
キャンペーンドキュメンタリー。

振り返って描く"戦史" ではなく
当時の、生の、剥き出しの
イタリア、ドイツ、日本に対する敵意。

でもそれ以上に
あたしの胸を貫いたのは、憐れみでした。

ヒットラーの横に昭和天皇が並べられ、
国民を惑わせ、洗脳し、
自分のために死ぬことこそ永遠に生きることだと
騙しているこんな奴を放っておいたら
世界の人類の自由が危ういから、
だから倒すのだ、それが正義だ、と。

その描き方が
多くの米兵を戦争に駆り立て
そして士気の向上に繋がったんだと思うと
制作当時は結末を誰も知らなかっただけに
なんともいえない気持ちになりました。


死体の数とか
戦地の生々しさとか
そういう視覚的刺激はほとんどありません。
白黒ですし
いかんせん古いので、ぼやけています。

でもすべての戦争映画の
"戦争指数" なんてものがあるなら
これがトップだと思う。

これが、戦争の本音だと思う。


そして
これが1943年のアカデミー賞を獲った
というのもまた色んな意味で
アメリカ史のリアル、な気がします。
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