シズヲ

ガラガラ蛇の夜のシズヲのレビュー・感想・評価

ガラガラ蛇の夜(1969年製作の映画)
3.3
ガラガラ蛇の夜!!ホラー映画みたいなタイトルのマカロニ・ウエスタン。実際豪雨の夜をバックに始まる冒頭の事件と悪人の結託は不穏なムードに溢れているし、遺産相続を巡る身内争いに第三者が巻き込まれる展開もミステリー的。主人公のガンマンもしょっぱなから「落ちぶれた姿」で登場して驚くし、周りがメキシコ系な中で一人だけ金髪白人という絵面は目立ってて面白い(好きな系統の風貌ではないけどね)。ただの酔っぱらいに成り果てていた彼が女子供のために復活する粗筋もマカロニとしてはちょっと変わっている。

主人公が任された「汚れ仕事」がそのまま子供にかかわるトラウマと密接に結び付き、それを乗り越えることで真の再起へと至る構図は面白い。色々と味のある要素を抱えているけど、肝心の復活劇がそんなでもないのが惜しい。ヒロインと結ばれる流れは割と唐突だし、序盤でのボンクラっぷりや過去の伏線に対して更正がスムーズ過ぎる(瞬く間に酒を断って銃の腕を取り戻す)ので主人公のドラマも思ったより深みは感じない。サスペンス的なマカロニながら雰囲気的にそこまでギラついてないのも残念。

でも銃撃戦や拷問などマカロニっぽい要点を押さえた上でちょいちょい変な描写が見受けられるのはなんだか憎めない。オープニングの不気味さを始めとして、しつこいくらい甲高いBGMと共に描写されるフラッシュバックや幻覚サボテンでトリップしてるヒロインなど所々の奇妙な演出が妙に印象に残るんだよな。主人公が再起するまでの心情を物語の主軸に絡ませる内容自体も結構好き。
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