rage30

アート・オブ・ラビングのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

アート・オブ・ラビング(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

性教育本『愛の技法』を出版した、ミハリナ・ヴィスウォツカを描いた伝記映画。

ミハリナ・ヴィスウォツカの事は知らなかったのですが、なかなか興味深い人物でしたね。
開放的というか、先進的な思想の持ち主で、女性達にオーガズムの大切さを説いたり、自身も一夫二妻制を試してみたり。
政府の役人にも、一歩も引かずに言い返す度胸もあって、見ていて非常に気持ちの良い、応援したくなるキャラクターでした。
残念ながら、本人は最愛の人と結ばれなかったみたいですが、2人で過ごした経験があればこそ、本を執筆出来たわけで。
そう考えると、『愛の技法』は2人が生み出した愛の結晶とも言えるでしょう。

あとは、舞台となるのが、社会主義政権下のポーランドというのも面白かったかな。
社会主義政権が性について、どう考えているのか気になったのですが、「家庭が壊れる」とかいう、同性婚を認めないどこかの国みたいな紋切り型の回答でガッカリ…。
結局のところ、性についてなんか、ろくに考えた事がない連中なんでしょうね。
この辺はもう政治思想云々と言うより、男性中心社会の限界なんだと思いました。

そんなわけで、ミハリナ・ヴィスウォツカについて知れたのは良かったのですが、映画としては見難い部分もあって。
主人公が本の出版に奔走する現在を軸に、過去の回想シーンを挿入していく…という構成が良くなかった様に思います。
時制が行ったり来たりする上に、映画のトーンも変わってしまうので、見ていて混乱するし、ストレスに感じてしまいました。
また、時世をシャッフルしたおかげで、何を言いたいのか、メッセージが散漫になっていまった気も…。
エンドロールで本人が言ってた様に、出版を応援してくれた女性達の存在はもっと強調して描くべきだったのではないでしょうか。

題材は良いし、役者さんの演技も頑張っていると思うのですが、見せ方がイマイチだったなと。
伝記映画なんだから、余計な事はせずに、シンプルに時系列順にやって欲しかったなと思います。
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