冷戦下の宇宙開発競争においてソ連が人類初の宇宙遊泳を果たした実話を、実際に宇宙を初遊泳したアレクセイレオーノフ本人の監修のもとに製作されたロシア映画。
こう書くとなんだか堅苦しいドキュメンタリーや、地味な宇宙開発物を想像されるかもしれないのだけれど、2人の宇宙飛行士のバディものとして、行って帰るのロードムービー形式のサスペンスフルなドラマとして、設定から映像までマニアックにこだわった超優良なSFとして、そして冒険心に満ちたファンタジーとして、つまりはどんな角度からみても魅力的でめちゃめちゃ面白い映画だった。
特に性格の相反する2人の友情と強い意志には胸熱必至。幼い頃の夢想話を随所に散りばめて、宇宙そのものがレオーノフにとっても人類にとっても夢そのものであることをうまく物語っている。
米ソの競争という政治的側面が色濃く影響したことは宇宙開発において抗い難い事実であり、避けて描くことなど出来はしないのだけれど、それでも昔も今も宇宙に憧れて魂を燃やした人間がいたことには変わりはなく、そして当たり前のことながらそれはどこの国においても寸分違わぬものなのだとあらためて考えさせられた。
例えばどの程度の脚色や創作かあるのか知るよしもないとは言え、コロリョフのような人物がいなければ、おそらくはこういった偉業は達成されていないのだろう。
とりあえず宇宙ものの映画を観たら宇宙開発史を深掘りしたくなって困ることがひとつ。
さらにもうひとつ、夜空を見上げながら過去から現在にかけてそこ(宇宙)にいた人たちに思いを馳せていると、日々のしょうもないモヤモヤが全部けしつぶのように小さく消えていくのだ。
機会があるならぜひもう一度、劇場のスクリーンで鑑賞したい映画ベスト3に入れておこう。