こたつむり

サイコキネシス 念力のこたつむりのレビュー・感想・評価

サイコキネシス 念力(2017年製作の映画)
3.5
♪ いま踏み出そう ぐっと前に踏み出そう
  優しさがズブリ胸につき刺さる

やっぱりアレですか。
年頃の娘さんはお父さんに向かって「やだー汚いー」とか「パンツは別々に洗って」とか言っちゃうんですか。んでもって、お父さんは肩身が狭くなる感じですか。

いやぁ。それはツラいですよねえ。
極々たまぁに「うちは違うよ」なんて胸を張る父君もいますけども。チョコボールで“金のくちばし”を見つけるのと同じくらいの珍しい話なんでしょうね。きっと。

そして、本作もそんな父と娘の話。
しかも、諸事情で離婚しちゃったから、かなり久々の再会。初対面ですれ違っても気付かないレベルなんですね。だから、簡単に溝が埋まるわけがない。

それに主人公である父親の情けなさったら。
銀行に置いてある無料のコーヒー(韓国では一般的なんでしょうか)をシレっと盗んじゃったり、いつもいつも仕事には遅れてきたり、狭い我が家は足の踏み場がなかったり。

これでもか、これでもか、と。
ダメな部分が描写されますんでね。そんな彼を簡単に見直すわけがない。これは太陽が西に沈むわけがない、と同じくらいに自然な道理です。

でも、そんな彼が偶然に手に入れた能力。
それは映画を実際に観ていただきたいのですが、というかタイトルで既にバレちゃっているんですが、そのお陰で人生が変わっちゃうんです。そう。本作はそんなSF的なコメディでした。

なので深くまで考えちゃいけません。
立ち退きを強制執行する場面とか「これは法的に大丈夫なのか」なんて考えちゃいますけど、そんな懸念は忘れるが吉。表層を撫でるように楽しめば良いのです。

それに悪役側であるチョン・ユミの美貌も。
こんな女性ならば踏みつけられたいわあ、なんて変な嗜好がムクムクと起き上がっちゃう…かもしれないかもしれない。わけがない。

まあ、そんなわけで。
念力(サイコキネシス)を手に入れたらどうするか?なんて縦軸と、父と娘の和解を横軸にした物語。韓国映画にしては尺も短いんで、気軽な気持ちで臨んでください。
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