似太郎

千と千尋の神隠しの似太郎のレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
4.6
恐らく21世紀に入って最も日本の観客から支持されたアニメ映画だろう。たぶん。(『鬼滅の刃』が登場する迄は…)

本作は宮崎駿版『不思議の国のアリス』であり、主人公の少女千尋の内的変化に合わせて「世界の見方」が変わっていく特異な一作。

世の中の辛さや厳しさを知らない現代の少女が、本当の意味での【生きる力】を取り戻していくプロセスをあくまで冒険譚として描いてる。宮さんらしくアクション演出や作画の緻密さが素晴らしい出来栄え。

銭婆に傷つけられた少年、ハクとの恋愛感情が一瞬だけ芽生える辺りがエモい。涙涙。あんな冷淡な両親とくっついているより湯屋で働いている方が千尋の為にもなるのだろう。

本作の後、宮崎駿作品はどんどん小難しくなっていく。そんな契機にもなった金字塔的なアニメ。『もののけ姫』や『風立ちぬ』もたしかに力作だとは思うが、やはりこの作品は現代に痛烈に響くファンタジーである。文句無し。
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