よふかし

千と千尋の神隠しのよふかしのネタバレレビュー・内容・結末

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

宮崎駿「成長物語ではなくて、その子たちの中に本来あるものが、ある状況の中で溢れ出てくるという、そういう映画を作りたいって思ったんです。」(パンフレットより)

地上波を録画の上、じっくり見た‼️もうね、本当に良い‼️
なんでこんなに面白いの?!ってなる。マジで、何度見ても色褪せない良さがある。子どもの頃とは違う見方してると思うけど、心から楽しませてくれる良い映画だ……‼️‼️

湯屋に来た翌日の朝に千尋がハクのおにぎり食べて号泣するシーン良すぎて泣きそうになった。共感とかじゃなくて親の気持ちになった😢父母は豚にされて、生きる為に働かざるを得なくて、誰にもその苦しさを打ち明けられなくて……心細くてつらいよねそりゃ😢
あと考察見てたら前日の晩の腹痛は初潮って言われててびっくりした。もし本当にそうなら、千尋のつらさ指数跳ね上がるよ……😭

クサレ神改め川の神様が竜になって飛んでいくシーンを見せて、ハクが川の神様の伏線を張ってるんやな〜ってしみじみ思った。上手い。

傷ついたハクを見て「私、ハクを助けたい」
って迷いなく毅然と言うシーン、痺れた。作品を象徴する名シーンやと個人的に思う。なぜなら、はじめの「ここで働かせてください!」は千尋の意思じゃなかったのに、父母を助けたい、ハクを助けたいっていうのは千尋が初めて強く願ったことだから。父母はともかく、千尋が帰るのにハクを助けるのは必ずしも重要ではないもんね……
危ない目に遭うかもと分かっていても、それでも助けたいという決意。流されるまま親の引っ越しで転校することになって、ぶすくれて不満を言うだけだった千尋が、自分自身で選択したということ自体が尊い。千尋の成長を感じる!
でも、駿的には「人はそう簡単に成長しない」ってことらしいから、監督の意図としては、「千尋の奥底に眠っていた生きる力の発露」と受け取るべきなんかな!確かに、湯屋で揉まれて仕事ぶりを褒められて自信がついて、大切な人を守ろうとするのは成長というより、自立なのかもしれない。

ハクが「大事なものが変わったのに気づかないのか?」って聞いたら、一番に金を確かめる湯婆婆のシーン、エグくて声出た。坊の見た目が変わっただけで分からなくなってしまう湯婆婆と豚になっても父母を見分けられた千尋の対比がきれいです。

やっぱり終盤、本当の名前を思い出したハクと千尋が空で手を繋ぎあうシーン最高すぎ!美しすぎ!もはや日本アニメ史上屈指の名シーンでしょ!!

湯屋を後にするとき、湯婆婆にちゃんと「お世話になりました!」って頭下げていく千尋にじーんときた。序盤でリンちゃんに「はいかお世話になりますくらい言えないのか!」って注意されてたのがちゃんと活きてる…!

ラスト、髪留めがきらめくのもこれ以上ないほど素敵な演出。もし銭婆が魔法で作ってたら残らなかったんだろうな。不思議な世界で得たおまもりが残ることであれは夢じゃない、確かにあったんだってことが視聴者にだけはしっかり分かるの最高…………
銭婆「一度あったことは忘れないものさ。思い出せないだけで」
そんでこの台詞がピッタリすぎて〜😭千尋はお母さんの腕に引っ付く甘えたさんになってたから多分湯屋のことは忘れちゃってて、ハクの「振り返ってはいけない」っていうのも、湯屋の出来事を過去に置いていくってことを象徴してるんじゃないかなって思ってて。だけど、たとえ思い出せなくても、千尋の中には確かに根づいている。それを表す良い言葉!
ナルニア国物語のクローゼットがちょっと開く終わり方も大好きやし、拙者、ファンタジー世界が確かにあったと暗に告げてくるオチをこよなく愛す侍と申す!🥷

もちろん音楽も良いしマジで非の打ち所がない映画なんよなあ、語らずの余白がまた良い。説明的ではないのに一発で物語は頭に入ってくるのが宮崎駿作品のすごさ。そんで二度目以降は伏線や余白を考えられる。良い作品です。
ハクと千尋は「きっとまた会える」と言い合ったけれど、種族の違いもあるし千尋はハクのことが分からないだろうからもう会えなさそう。名残り惜しむように離れる手のシーンは、二人が手を取り合うことは永遠にないことを示しているみたい。そんなことを考えてたら、谷川俊太郎の詩を思い出したから、最後に添えて筆を置くこととします。
〝ほんとうに出会った者に別れはこない〟
よふかし

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