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千と千尋の神隠しのmegurosのレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
4.8
「もののけ姫」が自然と人間との共存を模索した作品(=共に生きよう)であるとすると、「千と千尋」は山をすっかり人間が住宅地に作り変え、神様の家である祠は朽ち果て、川の神様は不法投棄によって腐れ神となっているような時代の話。

八百万の神が疲れを癒す場所「油屋」では、やってくる人間は豚に変えられてしまい、宮台真司的に言えば”劣化した”人間の魂が実体化したような存在である”カオナシ”は招かれざる客として忌避されている。しかし、その油屋も湯婆婆が独裁的に君臨するキャバクラのような場所で、働かない者にその居場所は与えられず、名も奪われ(源氏名で働かされ)自分が誰であるかも忘れてしまう。

全編ファンタジックなイマジネーションが爆発しっぱなしで、目まぐるしい展開に千尋とともに不思議な世界に迷い込んでしまうかのような作品体験だ。宮崎監督作品の中でもトップクラスにホラー要素満載でありながら、見たことがない美しい景色、魅力的なキャラクターで全年代楽しく見られる。だからこその日本映画界興行収入歴代1位、未だ破られぬ308億円。圧倒的です。

リンと釜爺が本当に良い人たちでジブリキャラの中でもトップクラスに好きです。
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