せいか

スパイダーマン:スパイダーバースのせいかのレビュー・感想・評価

1.5
Amazonで動画レンタルをして試聴。吹き替え版。
スパイダーマンはかなりライトにのみ嗜んでいる程度だが、あのデザインののびのびしてる感じが好きには思っていたので、ぬるぬる動くマスクを観るだけでもかなり満たされるものがあった。

1クール使ってやりそうなものが映画1本に濃縮されまくっていた(なにせ本編の中でもたかだか数日間の話をあの密度でやっているのだ)。
放映当時も話題になっていたので、なんとなーく部分的にイメージが構築されていたが(複数の形態の異なるスパイダーマンたちとか)、想像とは全然違った。思っていたよりもずっとSFしていた、アインシュタインの時空連続体とか、量子がどうのとか。触れると細々とややこしくなる範囲の話でもあったのだが、勢いと設定の珍奇さ、スパイダーマンたちの個性による熱量でそのへんを(少なくとも表面には)細かく出さなくても、全体的にいい距離感が守られていて、うまく娯楽に落とし込んでいたと思う。あれだけやっていてスパイダーマンの世界観がむちゃくちゃにならないのもすごい。
ストーリー自体もかなりシンプルで、王道ラインをなぞっているところにさらに現代的なものが乗っかっていたように思う。言ってしまえばややクサかったのだが、そこほクサさを感じすぎない程度に映像の力でここもバランスをうまくとっていた。

あと、3dアニメで描かれているのだが、とにかくずっと画面が挑戦的で、私には目新しいような表現の連続だった。キャラクターによってがらりと質感を変えた上で世界に馴染ませていたり、マンガ的表現をしたり、カメラグルグル動かしたり、そうでなくともとにかくなんだかいろいろ瞬間瞬間に騒がしい絵が続く。それでもなぜかちゃんとまとまっている。映画そのものもスパイダーマンみたいだったというか。
ああいう映像表現はやり過ぎたり巷に溢れすぎるとしんどいだろうが、少なくとも本作では観ていてずっと楽しかった。画面づくりのセンスも見慣れないもので、そういうのもあるんだなあと感心したというか。すごくクリエイティブな作品としても観られた。
せいか

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