ManOfIron

スパイダーマン:スパイダーバースのManOfIronのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

☆総合点最高レベルのアニメーション映画

◯他に類を見ない圧倒的アニメーション体験。リアリティを嘲笑うかのように鮮烈に脳を刺激する非リアリティ。アニメーションとは。コミックとは。楽しさとは。
◯今更な話だが、現在のCGアニメーションにおいて主流な"sur-reality"に対するアンチテーゼとも言える作風。現実に即したアニメーション?そんなものクソ喰らえだとでも言わんばかりに、ドッカンドッカン動きまくる。"What's up danger"が流れる一番印象的なあのシーン、周りに突き立つ高層ビル群は遠くから見るとビルの方向も地面までも歪みまくってるらしい。シーンのかっこよさを演出するための装置として3Dモデルを利用し、必要ならばその一貫性も捨て去る。これぞアニメーションの醍醐味という豪華なシーンが次から次へと流れてくる贅沢体験でした。
◯ストーリーは「マイルズの個人的成長」を軸に非常に綺麗にまとまっている。王道展開だけど、そんなのワクワクせざるを得ないよねって感じで進んでいく。当たり前だけど、アニメーション映画は全てがアニメーションで形成されている。マイルスの可愛いところやBパーカーの父性、グウェンのスマートさ、これら全てがアニメーションの技法で表現されている。
◯マイルズ自身の成長が描かれていく過程で、彼の家庭環境、特にマイルズと父、マイルズと叔父の関係にかなりスポットが当たって言及されていく。やっぱり父と息子のfather-son storyっていいよね。ドア越しに話すシーンはもーーーーうかなり泣ける。
◯全体にユーモアがふんだんに散りばめられていて、見ていて全く飽きない。これもリアリティにこだわらずコミックみたいなコマ割りやフキダシを使用するという思い切りの良い演出のおかげでもある。

・製作者のインタビューなど聞いてみるとさらに面白い。3Dモデルをアニメーションに落とし込む過程で機械学習を使ったり、(先述のように)全く現実的でないモデルを使用したりと、昔ながらのコミックの楽しさを表現するためにいろいろと新しいことを取り入れてきたんだなという感慨があった。
ManOfIron

ManOfIron