KnightsofOdessa

スパイダーマン:スパイダーバースのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

5.0
[こんなに性別と人種に対して肯定的で説教臭くない映画が他にあるだろうか] 100点

そう、これだよ、これ。と涙を流した。"黒人ヒーロー"とか"女性ヒーロー"とかいうデカすぎるパッケージを背負うこと無く、"黒人・女性であるが故に無駄に悩む"なんてことも無い。全てが当然のことであるとしながら、それを超えて一人のスパイダーマン引いては全てのスパイダーマンの成長譚となっているスマートさ。黒人の少年、白人の少女、うだつの上がらない中年、日本的なアニメキャラに動物にニコラス・ケイジがいて、ここまで大量のコンテンツが乗っかってるのに、余白があってこの映画で色々想像して遊べる楽しさ。家族愛に帰着しつつ、最後の最後で"名もなき親切こそがヒーローだ"と結ぶスタン・リーのカッコよさ。この映画においては黒人が黒人である必要がなく、逆に白人も白人である必要がない、こんなに性別と人種に対して肯定的で説教臭くない上に政治的でもない映画が他にあるだろうか。いや、あって欲しいけど。この映画が最初のペンギンになってもいいのではないか。

個人的にお気に入りは豚のピーターなんで、あの豚の顔を想像しながら寝ようと思います。

追記
"君の辛さ分かるよ"→"いや、経験したこともないのに分かるわけ無いだろ"、という流れに対する回答が"別次元から唯一の存在である本人連れてきました"なんだから文字通り次元を超えた共感と相互理解がある。すげえよ。
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