Kaji

メリークリスマス、ミスターモのKajiのレビュー・感想・評価

4.0
人生の悲哀と人生観、愛情と挫折を作ったあなたと映画へ。
過去があるから今がある、現せなくても愛はある、そんな作品だった。

「ユンヒへ」のイムデヒョン監督の長編デビュー作で、私は先にユンヒへを観ていて。
 寡黙なのに饒舌な映画を撮る監督だなーって。
なんてことない風景とか、無関心さが表れたセリフだったりとか、そういう一つ一つをすごくぬくもりのある方に受け取らせてくれるし、こういう撮り方って無駄が返って目立つので難しいと思うんだけど、ほんとストーリーと展開にたるみがなくて。
編集の人とすごく息があってるんじゃないかと思う。

そんでもって、こういうオタクの話は大事じゃなくて。
同じテーマで黒澤明の「生きる」があったり、チャップリンやサイレントコメディへのオマージュ、白黒だったり、ジャームッシュっぽいところがあったり。途中ロードムービーになったり。
監督は2014年のミジャンセンで審査員特別賞を取ってるそうで、この映画祭は若手登竜門としては名の知れたもの。韓国の映画目利きたちに愛されてるんですね。監督も映画愛溢れる人なんじゃなかろうか。


そしてもう説明不要なユジェミョン特別出演という安心感、そしてチョンヨビンが「チャヨン」て役名で出てたり(ヒットドラマヴィンチェンツォの役名と一緒)。
周辺要素もオタ心を刺激してくれました。


本編もコメディの「クローズアップなら悲劇、ロングショットなら喜劇」を地でいく、微笑ましいおかしみと風雪耐えた哀しみを救済する良い話だった。
Kaji

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