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鋼鉄の雨のtakatoのレビュー・感想・評価

鋼鉄の雨(2017年製作の映画)
4.3
 町山さん曰く、韓国の西島秀俊なチョン・ウソン主演のポリティカルアクションの良作でした!。「pmcバンカー」もだけど、このジャンルでも韓国映画はハリウッドを超えたな。


 開始早々の展開で「ええ!、これどうなっちゃうの!」というワクワク感と緊迫感が本当に素晴らしい。ハリウッドのこの手の作品ってどうも切羽詰まった本気感に欠けるというか、核も大きな爆弾くらいな扱いでイライラするが、本作では現実に連なる北と南の関係の切実さがビシビシとこっちにも響いてくるし、核による全面戦争という事態もシャレにならない恐ろしさがある。こういう題材をちゃんと扱えるだけで凄い。


 更に、北も南も思惑は一枚岩ではないし、米帝や中国の思惑も背後で動き、一体どうなっちゃうんだ!感を益々上手く盛り上げてくれる。それでいて、北と南の凸凹コンビな二人の物語を中心に持ってきているから暗くならな過ぎずに見ることができるエンタメバランスも上手い。


 二人が最後の旅立ち、死出の道を行きながら、なんてことないような軽口を叩きながらも表情では万感の想いを込め、そのバックでは軽薄そうなkpoが対比法として使われてる終盤の展開は本当にジーンときてしまった。やはり、こういう相棒な作品では、こういう別れの瞬間を描けなきゃ嘘だよなぁ〜と染み染み思いました。アクションも多すぎず少なすぎず、要所々々を締めているし、韓国映画は残酷ノワールだけじゃない広がりを益々増していると痛感させられた、久々に出会えた良作でした。
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