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鋼鉄の雨のkuuのレビュー・感想・評価

鋼鉄の雨(2017年製作の映画)
3.9
『鋼鉄の雨』
原題 강철비/Steel Rain.
製作年 2017年。上映時間 139分。

北朝鮮のクーデターにより一触即発の状態に陥った朝鮮半島を舞台に、戦争を阻止するべく奔走する男たちの熱い戦いを描いた韓国製サスペンスアクション。
オム役を『アシュラ』でもそうやけど、熱い奴チョン・ウソンが演じ、クァク役を『哭声 コクソン』のクァク・ドウォンが演じる。
2人の主人公の共通名であるチョルウ(Chul-woo)は、作中やとオムの方は鐵友で、クァクは哲宇だそうだが、韓国語の철비の同音異義語なんやなぁそうです。
韓国語は全くダメながら調べましたが間違ってましたら🙇ですが、chulはsteelまたはiron(どっちかと云うと此方かな)を表し、wooはrainまたはrainfallってとこやし、此方も意味深かな。
監督・脚本は『弁護人』のヤン・ウソク。

北朝鮮でクーデターが起こり、最高指導者が瀕死の重傷を負った。
その場に居合わせた元エリート工作員オム・チョルウは、意識不明の最高指導者を連れて韓国へ脱出する。
北朝鮮の宣戦布告により緊張が走る中、偶然にも韓国の外交安保首席クァク・チョルウと出会ったオムは、最悪のシナリオを回避するべくともに奔走する。

今作品は、韓国と北朝鮮の関係を描いたものなので、今の時代を舞台にし、起こりうることを描いたフィクションです。
フィクションとは云え、北と南両国の緊迫した関係から鑑みるとリアリティーがあった。
日本に暮らす小生でさえ北朝鮮でクーデターが起きたら!なんて考えたことがある。
ましてや韓国に住んでる人やったら、北朝鮮もしかり多くの人々が一度となくと思うやろな。
なんか両国の想いを思うだけで書いてて胸が熱く、そして痛む。
ほんで今作品は、その思いを見事に映像化した作品と云える。
今作品ではメインキャストがめちゃ素晴らしかった。
二人の相性も、主人公の描写も、とにかく演技全般が素晴らしかったです(CIAの女子はまず論外)。
朝鮮半島の歴史的、政治的な言及が散見され、理解しにくい部分もあるのは否めないが、詳しい人意外にもストーリーの輪に入れるように、より良い仕事をしてたかな。
と云うのも、映画の冒頭で、主人公が大学の教室で韓国の近代史と政治情勢について講義をするシーンがあった。
これは、観てる側が映画に入り込む前に、参考となる背景情報を提供するための優れた方法やと思う。
今作品はテンポが良く、アクションも比較的多いし面白い作品でした。
また、クァク・ドウォンはキャラに完璧にフィットし、チョン・ウソンとの相性も素晴らしかった。
加えて、チョン・ウソンの北朝鮮工作員の寡黙な中にも熱い闘志を漲らせる演技は驚異なほどやったしガンアクションがエかった。
クァク・ドウォンとチョン・ウソンは南と北で現状の文化の違いを性格で表されてたが、本質は同じだと、作中の二人の関係の成長で感じられるほどキャラに嵌まってたし、化学反応がヤバめでした。
個人的に嵌まってまうのはソコのウェートがデカイかな。
ただ、セリフが英語になるときなどの演技が誉めれる部分はないかな。
クァク・ドウォンの激しい訛りは、見ていてサブなったし、アメリカのCIAエージェントを演じた女優は、あれはキレイなだけで素人かな。
小生がマダマダ映画を知らないだけやろけど、日韓人で英語のセリフをつかった演技が上手い俳優さんはみたことない。
言語に気がいきすぎて、演技が御座なりになったり、キザったらしくなってんのばかり。
また、個人的には気にならなかったけど、上映時間139分と人によっては長すぎるかもしれへんなぁ。
途中からスローになり、退屈になるというほどでは無かったけど、気になる人はめちゃ気になるんちゃうかな。
しかし、今作品が取り組んでいる政治的問題は非常に興味深く、ニュアンス豊かに扱われてましたし、朝鮮半島を取り巻く政治に興味がある人なら、この映画を観て満足する方は多いんちゃうかな。
ほんで、繰り返しになりますが意外にも意外アクションもよかったし、印象的なんは、銃撃シーンはでガン=カタ(ガンフー格闘技とガンさばきを巧みに使い分け、相手を体術ではらうと同時に銃を打ち込むのです)が見れたとこかな(病院の戦闘シーケンスで)。
兎に角、個人的には十分に楽しみましたし、アクションシーンがスローな場面や、臭いCGIエフェクトを補ってくれていました。
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