凡人

FAKE ディレクターズ・カット版の凡人のレビュー・感想・評価

4.1
あの事件の話だけど、この映画の本質はもっと普遍的なことなきがした。

森達也のスタンスは、別にこの一件を明らかにしようとか、佐村河内さんに寄り添おうみたいなものではなく、メディアの節操のなさやずるさといった醜態を、とにかく世間の目にさらそうという感じかしら。だから森達也が出てくることもすごく自然というか。自分自身も加担してこの映画をあいまいに仕立てようとしてる感じ?(当たり前か)
実際、佐村河内さんにも否はあるわけだから、そこまで肩入れして新垣さんはおかしい!みたいな印象に持っていくつもりははなからなかったと思うけど。

それと、あとは例の「ラストシーン」…。
あれを見ると、フィクションとノンフィクションのいったりきたりをずっとやってきた人なんだなあとか思ってしまう。
ノンフィクションとして撮ってても、被写体が作りものならフィクションになってしまうんでしょうかーって。めちゃむずいな。
この映画自体がFAKEの可能性だってあるわけでさ…。
あと、森達也がいっちばん大事な作曲の時間に立ち会ってないのはなんなのだ?奥さんがカメラまわしてたよね。
基本的に作曲はできる…てこと?だよね?

ケーキ、気になる。
あのケーキが結構この映画とこすれ合ってる感じがして、すごく気になる。
生活感があるような、ないような不安感。
この不安感は最初から最後まである。ふたりの関係性も不思議だったし。
劇中の佐村河内さんは、ずっとお芝居しているような、とらえようのない、というか信用ならない感じがするんだけど、一瞬、本心が見えたような瞬間もある。めっちゃあいまいで複雑。嘘とホントがマーブル模様。
どっちが白でどっちが黒、とは、とてもじゃないけど言えないわ。
メディアは、言いたがるけどね。。
凡人

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