このレビューはネタバレを含みます
ハリウッドメジャー作品とは思えないほど、解釈を観客に委ねる開かれた作品。
アントニオーニ作品は皆こんな感じですが、古い作品なのかテンポは遅いのでじっくり観れます。
主人公が嫌な感じで感情移入しにくいが、当時のスウィンギング・ロンドンの映像もあり非常に楽しめる作品です。
さて、問題のラストシーン。パントマイムの集団からエアのボールを取ってくれと頼まれた。
あなたならどうする?
1.無視する
2.ボールを取ってわざと向こうに投げる。
3.ボールを取ってそのまま投げ返す。
前半のイヤミな主人公なら2を選びそうだが3を選んだ。
価値のないプロペラを家に持って帰り、ファン垂涎の折れたギターネックを無造作に投げ捨てる。
モノの価値は俺が決めるという感じで、これまで仕事に対しても揺るぎない自信のあった主人公が死体が無かったことで弱気になり、おもわず相手に迎合してしまった瞬間だ。
これにより彼のこれまでの強烈なアイデンティティが無くなり、結果画面から消失してしまった。
彼はこれからも写真家を続けるだろうが極端に腕が落ちるだろうと予想します。
気になったのが、友人の前衛画家の彼女。主人公は微妙な思いを持ってるように感じたが・・・彼女はモデル達みたいにガリガリに痩せてない。。。