マヒロ

欲望のマヒロのレビュー・感想・評価

欲望(1966年製作の映画)
2.5
60年代あたりのイギリスの文化って、まさしく"モダン"な感じがしてカッコ良くて好きなんだけど、この映画の舞台はズバリその時代。その時代の雰囲気だけでもなかなか好きだったんだけど…問題はこの映画、お話がサッパリ分からない!

グラビアのカメラマンとしてモテモテな主人公がその現状にどこか空虚感を覚えていて、リアルな写真を撮りたいと思いながら街を徘徊して写真を撮っていると、偶然殺人現場と思わしき写真を撮ってしまう…というところまではまぁ良いんだけど、そこから先は何やら哲学的な思想に突入してしまい、もはや着いて行けず。

終盤、あのヤードバーズが現れてライブをするシーンがあるんだけど、何故か観客は1ミリも盛り上がらずにじっと見つめるのみで、ジェフ・ベックがいまいち慣れない感じで(ピート・タウンゼントが出てくれなかったので代わりにやらされたらしい)頑張ってギターをぶっ壊しても全くの無反応。ただ、ベックがギターのピックを投げるとたちまち騒ぎ出し、ピックを拾おうと群がる…という場面は、今の人たちにも通づるものがあるんじゃないかなぁと思った。要するに、その場の感動よりも形に残るものばかり求めて、芸術がもつ本来の魅力を忘れてしまっているのではないか、ということ。今の人も、やたら写真ばっかり撮って全然本物見てねーじゃねーか!って人結構いるしね。まぁ僕のことですが。

こう考えていくと、文明の発展と共に、物の本質が見えなくなっている人たちを描いた映画なのでは…と思うんだけど、どうでしょう。この答えが僕の限界…

(2015.169)
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