爆裂BOX

キリング・グラウンドの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

キリング・グラウンド(2016年製作の映画)
3.8
オーストラリア版「ヒルズ・ハブ・アイズ」と称される人間狩りを題材にしたバイオレンスホラー。
ストーリーは田舎のキャンプ地にやってきたカップルが、そこで人間狩りを行う地元のハンター二人組に襲われるというありきたりな内容ですが、前半は
①幸せな主人公カップル
②隣にテントを張っている先客の4人家族
③人間狩り行うハンターの日常
この三者の物語が同時進行で交互に描かれていきますが、ストーリーが進んでいくにつれて時間軸を入れ替えて描かれていたことが明らかになっていく構成になっており、このおかげでありきたりな内容ながら前振り段階でも中弛みする事無く程よい緊張感で見る事が出来ます。主人公カップルと4人家族が交差する瞬間も、不穏な気配を感じ始め移動する主人公の背後に助けを求めるヨチヨチ歩きの赤ん坊が映りこむというちょっとした心霊映像っぽい見せ方が良いですね。
4人家族が陵辱され殺されるシーンもその時を見せず事後のシーンを遠景のショットで見せたり、殺す方法も猟銃で一発というアッサリしたものなのがドライで乾いた印象で逆に現実味感じさせます。被害者をいたぶったり直接的なゴア描写は少なくアッサリしてるのでグロ苦手な人も見やすいかも。その分コアな人にはアッサリし過ぎて不満でしょうね。胸糞悪さはレベル高い方ですが。
人間狩りするハンター二人も振り切ったサイコパスというよりは、欲求不満でそんな中で誰にもバレない可能性高い状況で理性のタガが外れたおっさんという感じで、死体そのまま放置したり、生存者がいるかもと表に明確に出さないまでも焦り始めたり警官射殺したりとあまり考えないで行動してる感じが妙にリアルでした。殺人を行う度胸無くてそれには躊躇していた相方も「射撃ゲーム」でタガが完全に外れて、先に始めたムショ帰りの方よりもノリノリになっていく所もリアル感感じました。
中盤から始まるカップルとハンター達との追跡劇は派手なシーンはないながらもハラハラできて見入りました。赤ちゃんを地面に叩き付けるシーンは流石にギョッとなったなぁ。彼女のサムはハンターに捕まって「悲鳴上げろ」といわれても頑なに悲鳴上げなかったり強かったな。彼氏のイアンは本性現す前のハンターとのやり取りで優柔不断な感じ出してましたが、一人で逃げる所は苦笑。でも一人でも先に逃げて警察呼んで戻ってくるのは現実的に正しい判断だとは思いますね。
胸糞系と聞いてただけになすすべなく殺されるんだろうなと思ってただけに最後の反撃シーンはちょっとスカッとできました。その後のラストのサムがイアンを見つめる何とも言えない表情が胸糞とは違った後味の悪さ残してくれるのも良いですね。何も言わないまま終わるのがまたあれこれ考えさせてくれますね。
後、赤ちゃんオリーはどうなったんだろう?叩きつけられてからも自力で移動して生きてはいたけど、ボロボロだし、最後ハンターの犬が寄り添ってたけどその後は不明のままでモヤモヤが残りますね。
派手なシーンやグロいシーンはないながら緊張感味わえて楽しめました。まあ胸糞悪い所は結構あるんで気軽にオススメは出来ないですが。