takeratta

志乃ちゃんは自分の名前が言えないのtakerattaのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

少しストーリーと別の話から。
丁寧に、寝た子を起こさぬような、優しさと原作の配慮を重んじて。


親が医療の人だった。
病んでる人、怪我してる方が来院され、治療や処方を受け、治ったり、退院して元気になられて、私たちの世界は、忘れられてゆく。

そんな世界に育ち、当たり前のように医者になる事を目指してた、無意識というか、刷り込みというか。
家業というか、世襲がある訳じゃないけれど、地域のため、人の健康な幸せな日常のため、そして未知なる病原体やテロリズムが仮に起きても、バックアップ体制を絶対に毎秒怠らず、し続けるプラットフォームのような、気にならない、必要悪のような、誰かのいつかの、バックアップとジャンプアップのための、カタパルトのような。


受験戦争は、これは言葉こそ残忍だが競争はある。
理由も割に明確。
医師の国家資格保有者に相応しき者のためのみにしか道を開かない狭き門ゆえ。

ただ、医業を目指し転身し、経営をする者も居れば、テクノロジーを開発するための、基礎学術としてそこも脚立のように、その上から更に未踏野を目指す者も居る。

無いものを0から1にする。
0で保てなくなった、パンデミックを抑えるために、啓蒙や、予防医学、公衆衛生学や、国際社会の機関で働く者も、
国境の無い世界で飛び回る者もいる。

さて、家業は耳鼻咽喉科だった(らしい)
私は医学部から文転して経営を目指した。
出来損ないの、バカボン風体であった。

自分に辟易してきて、地域の閉鎖性にある、あのうちは医者だからとか、医療の子だからみたいなのが
自分で耐えられない存在の軽さや、芯の無さに自分で勝手に慄いて、怯え、救いを求められず、意味の無い完璧主義に、自らを鞭打って、自重自縛の、愚か者に成り下がった。

医師になりかかって、健康診断で欠格となる。
あとは、凧糸の切れたカイトの如く、ただ、ゆらゆらと墜落するまで揺蕩うだけの、無能そのもの。


耳医者って、時に音楽家さんの治療もする事はあり得ますよね。

耳と、舌と、喉と、脳と、心。
別々なのに案外近い。
近いのに垣根も有り、統合医療を進めるのに、
多くのブレーンをかき集めないと、

細胞で出来ててほぼ水分の、生きてるだけでも
奇跡に近い、命ある生き物ってさ
生かし続けなければならない。

存在を否定したり、治療を拒んでサボタージュが全く許されない。
血だらけの事故に遭った急患を放り出して治療をしない外科医は居ない(はず)。


ピアノを習う事が幼い頃あった。
スタートはドレミの音を聴くことから。
それを声に出して、認識を音階に置き換えて
歌うことから。
ソルフェージュって、初めにしたと思う。

バンドから始めた子達は習わなくても
音楽の授業を、義務教育で受けて、何となく
何で学校って、合唱ばっかりやるの???

みたいな。謎なの、ありませんでした?
あれ、耳と音と声。
大事なの。


個人でピアノの先生をなさられておられる先生方なら、時に、親御さまにそっとご相談と耳打ちをして、お子さんを一度、耳鼻咽喉科の聴力検査へと、やんわりとご案内することはあるかも知れない。(無いかも知れない。)


耳が悪くて、音痴と馬鹿にされるのは気の毒ですし治せるなら、骨伝導もあるだろう。
ベートーヴェンが、晩年はピアノに噛み付いて、耳小骨の骨伝導で、楽譜を譜面書いたのは有名かな。


敢えて病名を特定せず描きたい作者の趣旨をくみとると、
色んなことに拡げて考えられる。


あー、このタイプの映画、無理。嫌いなタイプ。

そういう人を差別しません、差別する人にも人権は有るし、無意識の差別を
ロードローラーにガッツリ乗り込んで、
障害や病いや怪我や、病棟でしか生きられない人を、無理とか嫌いとか。

言うひとでも心の中まで
心のバリアフリーせいよ?!と
ロードローラーで、土足でズカズカと踏み込みません。むしろ踏み込めません、残酷過ぎて。

ポリティカルコレクト(ポリコレ)趣味ではないですし、啓蒙家でもありませんし。

あんたはあんたの好きな人と生きてけば良いよね?!ってね

そこに入れない人々を描く映画は、嫌いですか?


私はありがたい事に、一度目指した目標を旧帝大附属の中学受験で試験で合格して入学くじで、くじ引きでハズレを引き、

リベンジで医学に進んで、国試で欠格。

でも、いいんです。貴方の人生でないし
あなたには迷惑かけないで、そっと生きる場所が、ほんの隙間に有ればそれで寿命を全うするまで十分だから。

友だち100人出来ないって保育園で習って育った世代だから。悟れてる。

でも、なぜ勇気を以て、敢えてこの、陽の目を見ない、陽の当たらないマイノリティに
優しくメスを入れ、報われない青春たちに、
幾つかの救いを与え、それを世に形として
伝えたかったか?

そこは、考えたのかい?
おまいさんは、受験の小論文試験の解答用紙に
名前は書いて、

マイノリティは嫌い、無理。

そう、大手を振って、今後も、更に惨たらしくふんぞり返るのか?

私は一塾頭として、ダメな部類の人育ちなダメ大人代表として、
聞く事はするかな?
質問権は行使して良いんだよね?!確か、何たら宗教まがいにも、書簡が受け取られたわけだし、
裁判も出来るわけだ。

音楽は、時に言語を超えるし、国境や信教、肌の色の違いや、血統の違いすら軽々と易々と乗り越えられる時がある。

実体験として、捨て子育ちの孤児院上がりで
ロキノン、ベースマガジン、キーボードマガジン、
からの、
EDM、ユーロビート、クロスオーバー、フュージョン、
エレクトロニカ、ジャズ
エレクトリックジャズ、アシッドジャズ、
ダンサブル、
一周まわって、アンプラグドで、
電源も、アンプリファイア(増幅器,俗にアンプ)の線も楽器から、
ぶっこ抜いて

裸一貫、楽器一個でどこまで世界を渡れるか?
テナーサックス一本で
ハーレム125丁目目指して、まずは西海岸のバークリーから。

How much we got the take?
(今夜のギグセッションで、(俺の)取り分幾らよ?)
これだけで、音楽土方(建設業界の方ごめんなさい)で
IT土方で、マニピュレーターしたり
アレンジャーしたり
PA触ったり、演奏の仕事無きゃ、音響もミキサーも
カネになるなら、生きるため何でもした。

4年半は喰えて、住む家も買えた。
どん底を味わったのは、住むと来なくて、
黒人街の教会の炊き出しに並び、フードクーポンもなく
乞食さながら、セントラルパークサウスで
夕刻から吹くジャズマンとして
数セントお恵みを頂き、インプロビゼーション(俗にアドリブ(アドリビディム))を披露して

明日と明後日と明明後日の、
ベーグル一つの為に、腹ペコで腹下しでも
演奏する。

魂の叫びは、英語下手だし、知り合い居ないし。

有りつけたのは、見窄らしく、強盗に売上盗られた自分を見るにみかねたダイナーの老夫婦に

屋根裏は、家ネズミが出るから、汚いから触るなよ!とだけ言われ

清掃ついでにそこに住めた事。

飼い猫の前に、俺のチーズだよ、家ネズミよ。


その底辺でも、それを個性を捉え
100人に1人の苦しみを
500円の寄付で救い続ける毎月をする方と

嫌い、無理。

この天国と地獄は、驚く事に、
この世にあって、ななんと!
映画のスクリーンの、こっち側にあるんだわな!

残酷だ。

そんなダメと言い捨ててはならない、
マイノリティも尊重するべき、
ダイバーシティ教育をありがたい事に20世紀末に受け終わった大学生だったので

私は、無理も嫌いも言わない。言えない。
何故なら、私も病んでるし、マイノリティ側だと思うから。

音楽しか取り柄はないし、
音楽好きな奴に、悪い奴はそんなに居ない。
(或いは、悪い奴全員仲間 ww)

そんな訳で、
ブルーリボン賞獲る子たちが、モデルから出る時代に、撮る側や、書く側としても驚く。

端役を頂き演じる側の演者的には、
天才現る!!!

正に驚愕の現実を伝えたくて、演じるし
駄作と没は嫌いだけど(爆笑)

それは棚に上げて
今日も明日も明後日も
映画の評を書いては、
売文屋稼業や、活動人として
イベント打って、映画を、劇場を
産業を支えたい!


そんな、人間の魂の苦しみと
そこにある、とてつもない無関心という残忍さと
無知という哀れさを、
私たちに見せつけてくれる一昨。


言うまでもなく、監督は誰もが知る天才。
崇拝出来るくらい、才能溢れてるし
いいスタッフも演者もこぞって集まる。

自然、演劇人であろうがなかろうが
ここもサバイバルレースは
演技で勝ち獲り(撮り)に行く!

モデルも何も、学歴も、関係ない(かも知れない)
芸術性は、そういう教育を受けた人が有利かも知れない。
ならば医療監修や、放言指導、
スタントダブル、スタンドイン、
色んな経験を積ませて頂けて、

ラインプロデュースを知り学びはまだまだ足りなくて
その次その次と、頑張るしかない日々。

自分を矜持するもの、それは
紛れもない、己のコンプレックスを
嫌い、無理!と
拒否らず、受け入れ、受容し
その裏側に、その人にしか出来ない、
天才性、意表性がある事に、

山ほどのオーディションに来る人をみて
落選させる時の、この切なさ残酷さ。

中学受験で、小学7年生の、中学浪人しようか?
血迷ったほど、せかいが見えて無かった己の
あの時の、悔しさや絶望の

B面が、実は
オリジナルサウンドトラックになってんじゃん!って
何でその、すんげいリフ打ちのテクを早く出さねーんだよ?!と

先輩らに、凄まれて、ええぇ〜って
大学のジャズ研に囲まれ、
慄かされた、陰キャ非モテダメ高校生が

大人になっても、あの時の夢を
若い人に見てしまうのは、

親でも無いのに、期待しすぎなんだろうか?

全てが素晴らしく、
生きて生まれてきてくれて、本当にありがとうなんだよなぁ。

それなのに、嫌い、無理って。
違った意味で、すげーと思う。

私には言えない、アナクロ(時代錯誤)過ぎて。


観て何を感じ、何を抱えて人は死ぬまで人生突っ走っていくのか?

感じる人には感じ取って欲しい。
そんな作品。

人を選んで、お勧めします。
ただ、豪快な傑作になります。

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