MK

志乃ちゃんは自分の名前が言えないのMKのレビュー・感想・評価

4.2
マンガも良かったけど映画も良かったなぁ。ちょっと一人だけ、キャラが化け物じみてたけど…。

また観たけど本当に善い映画。
歪な友情がはたから見ると本当に優しくて大好き。

喋れないなら書けばいい
伝わらないなら唄えばいい
唄えないなら奏でればいい

ツールなんてなんでもいいよね。

弱さって人を強くするんだなぁってつくづく思う。

二人でなら…やれるって思うから。

別に病名なんていらないんじゃないかな?
色々な人が生き易い社会が来ればいいと観るたびに願うばかり。

そして。蒔田彩珠ちゃんは本当に魅力的な俳優さんだなと思う。

言葉が苦手な少女と音程が苦手な少女がフォークデュオを組むのだが…という話し。

言葉が出なきれゃ書けばいい。
メロディが唱えないなら奏でればいい。

少女たちは教室の中で光り輝く存在ではないし、誰もが憧れるようなキラキラした学園生活を謳歌しているわけではないのだけれど、教室の片隅で育まれていく小さな友情と成長は可愛らしくて、なんだかほっこりと見とれてしまった。

吃音症と音痴、確かにどちらも想いを伝えるという意味で誰しもが当たり前のように与えられていそうなツールがお互いに欠けていて、その隙間を不器用ながらも思い遣りと優しさで埋めていく二人のやり取りはハッとさせられることがいくつもあった。

自分ではどうにもならないこと…身長や顔立ち、体臭や声質、それに言葉や音程。

誰よりも本人がそれを自覚していて嫌で嫌で仕方がなくて克服したいのに、他人のそれには無頓着なことがある。

そんなこと言ったら悪いよ…そんな憚りが一分の違和感とひょんな好奇心や差別意識で追い風を浴びた瞬間に無邪気な悪意に変わってしまうし、その無邪気さが誰かの心に深い傷や闇を落としてしまう。

とても言葉を大切に発しなければならない人、想いをメロディに乗せられない人、他人の気持ちを推し量ることが出来ない人、そんな一人一人が多かれ少なかれ抱えている悩みや苦しみを、異性ではなくて個性として尊重し合えるように、人格や特性を相対的に比べてしまうようなことがなければ、多種多様な人たちが共存できるのかもしれないななんて思ったりもした。

あと、青空、あの素晴らしい愛をもう一度、世界の終わり、なかなか選曲が渋くてそれも良かった。

生まれたところや皮膚や目の色で
一体この僕の 何がわかると言うのだろう

悪いのは全部 君だと思ってた
くるっているのは あんたなんだって

つぶやかれても ぼんやりと空を
眺めまわしては 聞こえてないふり

三島由紀夫、金閣寺の柏木の言葉も然り、
チバユウスケの歌詞、
考えすぎだけど色々と想起させられた
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