アズマロルヴァケル

志乃ちゃんは自分の名前が言えないのアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

3.7
実際観てみたら結構良かった映画

・感想

この映画は原作と照らし合わせながら観賞してみたのですが、とにかく誰にでもオススメできそうな青春映画。或いは漫画原作の実写映画としてはほぼほぼ成功と言ってもいいんじゃないかなと思う。

原作の描写は本当に忠実に再現されていて、映画のなかでは『しのかよ』の演奏シーンやバス停で志乃と加代が話すシーン、そして賛否両論のラストシーンといった映画版ならではの描写が追加されていて、映画としては結構良く出来ていました。

志乃を演じた南沙良さんや加代を演じた蒔田彩珠さんも新人ながらいい演技をしていたのですが、中盤に出てくる用務員のおじさん演じる渡辺哲がとてもチャーミング。劇中では台詞は一切発しないんだけど、渡辺哲さんの表情が豊かだったので可愛げがありました。

あとは菊地を演じた萩原利久が脇を固めているのですが、序盤に志乃の物真似をして志乃を馬鹿にする下りやクラスの前でタンバリンを披露するシーンは結構なウザキャラを演じていていいです。あの菊地がいたせいで「腹立つなぁ。」と思う人もいるかもしれないけど、物語上菊地の背景や心情が描かれていることもあり、どこか憎めないキャラクターに仕上がっていました。

そして、私としてはラストシーンは原作漫画を改変・脚色するにあたって結構ラストシーンだったのかなと思いました。あのラストシーンに関しては、結局、志乃は今後加代と関わらないのか?逆に菊地が志乃のように孤独になるのではないかと想像を膨らませてしまうところがありましたが、良い意味であのクライマックスの文化祭以降の志乃が心の成長を遂げたという点と加代や菊地と違う人間と関われたことで救いがあったという点では悪くはなかった。悪い意味で欲を言えば、2学期の修了式ぐらいまで描いてほしいし、志乃、加代、菊地の3人が関わる描写はラストで欲しかったなぁと思う。

ただ、私は個人的にこの映画は皆が見逃してはいけない映画なのではないかと素直に思いました。原作漫画を読んでない人もそうですが、この映画の主要人物のようにコンプレックスを持っている人には非常にオススメすべき作品です。