中盤でお腹一杯になるコメディ映画
・あらすじ
グレッグはアリバイを使って人助けをする会社「アリバイ・ドットコム」を経営していた。かなりの大手で一般人から大統領までもが利用していた。
グレッグには両親の離婚がトラウマで女性スタッフのクララと別れていた。そんな折、仕事中にひょんなことからフローという女性とバッタリ出会うことになる。やがてSNSで誘われた末にボーリング場で軽食することになった。フローは法律事務所で働いていて嘘が嫌いであり、グレッグはアリバイ・ドットコムという会社を経営していることは当に言えるわけがなかった。気がつけば猛スピードで距離が縮まったグレッグとフローは
両親と挨拶をしようとフローの実家に訪問することに。
一方で同じタイミングでカンヌで不倫旅行をするジャン=クロードと名乗る中年男性がやって来る。彼もまたこの会社を利用するようだったが、実はこの男性は
フローの父親ジェラールだった。そして、グレッグがフローの実家を訪問した際にグレッグがフローの彼氏だと知るのであった。
フローと母親マルティンはカンヌに、ジェラールは不倫相手と共にカンヌへ、グレッグは仕事でタンザニアに行くと嘘をついてジェラールのアリバイを成立させようとパリ郊外のホテルに泊まっていた。だが、ジェラールがフローと妻のマルティンとばったり出くわしてしまったことを機に自体は急転してしまい……
・感想
映画自体は「ヒャッハー!」二部作とは別物で、それぞれ演じている役柄、またはキャラクターも丸っきり違う様子。なので「ヒャッハー!」シリーズで羽目をはずしたサム役とアレックス役の人はかなり違う役柄ではあった。
で、ざっと結論を言うと物凄く面白い。
少なくとも賛否が分かれそうなところはあるんだけどなかなかコメディ映画というジャンルとしては結構ここぞというツボを押さえていて、「やってくれるじゃないか!」と言いたくなった。
まず、序盤でフローの母親マルティンがアルバムを見せて元夫と元息子の写真を見せているだけど、元夫が「黒人の子供を産むなんて宝くじでも当たったみたいだ。」って言ってて明らかに「あれぇ~?」と思ったり、ボーリング場でグレッグとフローが軽食中にグレッグがボーリングをしていたらうっかりボールを間違えてフローの飼い犬ルーキーをボールにして投げたりとまあなかなかエッジの効いた笑いを届けてくれる。
で、あろうことか有名映画をリスペクト・オマージュしたかのようなシーンも面白い。例えば、グレッグがよくジャン=クロード・ヴァンダムの「キックボクサー」という有名な映画を見て回転蹴りをするシーンがあるのだが、それがラストでいいところを見せていたり、後半ではアリバイ作りで怒らせてしまったサーカス団の男性から逃げるためにグレッグが車を借りるのだが、どうしてもサーカス団の男性から逃げる様がワイルド・スピードシリーズみたいなカーチェイスだったりと有名な洋画を知っている人は誰もが見たことあるようなシーンを挿入させている。
その一方で「世界の果てまでヒャッハー!」のようにやけに下ネタで笑わせようとしているシーンが地味に連発している。登場人物が股間、もしくはタマが痛い目に遭うシーンはまあ許すとして…。
マルティンの元夫がマルティンの写真を見てオナニーを繰り広げるシーンだったり、先述のサーカス団の男性が猫にタマを狙われるシーンなんかはタマが無修正で半分ひょっこり出てくるので女性にはキツいかも。
しかしながら、「ヒャッハー!」シリーズと違ってラストは凄く急降下するような後味の悪そうな展開を見せつつも、「世にも奇妙な物語」にありそうな皮肉かつブラックユーモアとも取れそうなオチは見事だった。これでもグレッグとフローがくっつきそうでくっつかなさそうな…ハッピーエンドじゃなさそうな。