チッコーネ

スキン・コレクターのチッコーネのレビュー・感想・評価

スキン・コレクター(2017年製作の映画)
3.7
ドイツ×カナダの珍しいコラボ作。
さほど期待せず観始めたのだが、ルッキズムの呪縛から逃れられない女の業がずっしり盛り込まれた、幻想的な語り口の医療ホラーで、『絶体の愛』や『ヘルター・スケルター』とは似て非なる観応えあり。
主要な舞台となるヒロインの居室はいかにもセットなものの非凡なデザインが印象的、さまざまな色を使い分ける照明、そして轟音クラブミュージックからオールディーズまでをセレクトする音楽もセンスが良い。
ひび割れた大地のようにボロボロ落ちる皮膚の細胞描写は執拗、結構グロめでしっかりホラーだった。

またヒロインと彼女に寄り添う女、そして主治医と、女だけの陰湿な裏の掻き合いは緊張感たっぷり。
レズビアン要素さえあるが「被害者意識に端を発する保身の末、掴んだ愛など成就するはずもない」と突き放すかのようなラストは身につまされる。
「全部見栄のため」という台詞も強烈、各女優のキャラ立ちも鮮やか。