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サリュート7のバナバナのレビュー・感想・評価

サリュート7(2017年製作の映画)
5.0
1986年、まだソビエトとアメリカが冷戦をしていた頃に起こった、ソビエトの宇宙ステーション事故をほぼ基にしている話。

1982年に打ち上げられた宇宙ステーション・サリュート7では、トラブルが多発した。
本作の冒頭で起こった事故は、1983年9月に燃料タンクへの配管が破裂し、船外活動で修理した事故のことだと思うが、その時にもこの映画の様に亡くなった人が居たのかな…?。
そして、その時助かった方の船長ウラジミールは、幻覚が見えたので宇宙飛行士を退役したのだが、その後もサリュート7では故障が続き、
とうとう1985年2月、無人のサリュート7で通信が途絶え、全システム停止となり、漂流を始める。
もはや地球に墜落の危険が迫る。

1985年6月、サリュート7の機能を回復させる為、
手動ドッキングができる人間という事で、またウラジミールに声がかかり、
サリュートの設計に携わった技師ヴィクトルと二人で宇宙に飛ぶのだった…。

映画の中では、アメリカのスペースシャトル・チャレンジャー号にサリュート7が回収される事をソビエトは異常に恐れていたが、
チャレンジャーの事故が1986年の1月にあったので、どちらにしてもアメリカによる回収は無理だったのだが…。
しかし、宇宙飛行士たちがステーション内の水分を吸収するのに自分たちの服まで使った為、風邪をひき、熱が出ていたのは本当みたいだ。
その他の事故は本当だったのか、映画的脚色だったのかよく分からないが、
ソビエトってK-19の原子力潜水艦の事故とかも本当に遭ったし、どうなのかな?

サリュート7は本作で取り上げられた修理の後も、1986年6月にも最後の有人ミッションが行われ、
結局1991年2月にアルゼンチン上空で大気圏に突入し、
その一部は燃え尽きなかった様だが、地表の被害は報告されていないという。
しかし、その後も大気圏で各国の人工衛星同士が衝突して落ちてくる…なんて、しょっちゅうある様なのだが、
この映画の様に個人の能力のお陰でギリギリのところで何とかなるっていうのは、頭上に飛んでる物が巨大なだけに、そんな運を天に任せるようなことが常態化しているのは怖いと思った。

それに宇宙飛行士って、ただ頭が良いだけじゃなくて、危機が訪れた時の胆力もないと、ただの科学者だけでは無理だよね、と思いました。

ここから激しくネタばれです。
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映画のラストを観て私は大号泣したんですが、実際はウラジミールは無事地表に戻れたそうです。ハラショー!

2023/05/25追記
本作の衝撃的なラストはサリュート7のウラジミールのことではなく、
ソユーズ1号で親友ガガーリンの代わりに搭乗を自ら希望し、40歳で亡くなったコマロフさんの最後の姿をモデルにしているらしいです(ネットで実際の写真を見ることができます)。
現実にこの様な亡くなり方をした宇宙飛行士が本当に居たとは残念です。
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