むむ

響 -HIBIKI-のむむのネタバレレビュー・内容・結末

響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

面白い。死ぬまでに見ないと損。
上映時間も短めでさらりと観られる。
このシンプルなストーリーでまとまりも良い。
これだけ飽きさせない作品に仕上がっていることに脱帽。

脚本を読んだ平手ちゃんがつまらないからこうした方が良いと監督に言い、脚本が直されたから更に面白くなったのかも。その部分を具体的に知りたい。

原作は未読。あらすじ程度のストーリーは
知っていたが、響という人間が興味深いし
こちらの予想を裏切ってくるしで、終始引き込まれた。

平手友梨奈の表現力はFNS歌謡祭の平井堅との
コラボで単独でしていた創作ダンスから本当に
やばい逸材だと思っていたが、今回本当にやばい。
映画初出演&初主演の今作、期待を大きく上回る
素晴らしいものが観られて興奮がおさまらない。

有無を言わさない強い意志を感じさせる
瞳の演技が圧巻。鳥肌。

屋上からの落下シーンがCGなしという
のが衝撃。命綱を着けるとはいえ実際
自分から言ってやるところも尊敬。

沸いた。震えた。さらにファンになった。

鮎喰響の生き方、人間性は極端だが
斬新で危うさに溢れていて魅了された。
「お伽の庭」を読んで彼女が創造した
世界や独自の思考に触れてみたくなった。

本を読んでこなかった人生を勿体無かった
と思えたし唐突に書き物がしたくなった。自分の才能を確かめるため何か始めたくなる映画だった。

アヤカ・ウィルソンがひたすら可愛かった。

北川景子も薄化粧で若返ったのかと思う可愛さだった。
が、役名(花井)が入ってこないほど本人像が強い。

その点小栗旬は見事に芥川賞を逃す小説家に見えてくるから流石。

響はやり方が極端だが思いやりがあって、
クールだがたまにふと可愛らしくなる
部屋にぬいぐるみのある普通の女の子の面もあるのが良い。
揉め事を上手に解決することができず
衝動的に暴力に走ってしまうところに
コミュニケーション特性があるが、
世の中の体裁に左右されず思ったままに動ける響を羨ましく感じた。

暴力騒動を起こしてしまっても、
みんなが認めざるを得ないほど圧巻の作品を
生み出した鬼才、鮎喰響。どれだけ不利な状況下でも評価される、本物の才能。
と表現したくて暴力表現が入ったのだろうか。
暴力は嫌いだがそれならアリ。

響のようにブレない芯のある人間になりたい。

1番ほっこりしたシーンは、海で響が
砂山に埋もれながら安定の読書をしているシーン。
どんな場所でもペースを乱さない所が好き。

小栗旬に響が言い放った、作者の分際で他の人が良いと思った作品にケチつけるな!が印象的。
芥川賞とれなくてもその作品を読んで面白いと言ってくれる人はいるわけで。
一部の人でも評価してくれたらやる意味はある
と色んな意味で励まされる心に刺さる一言だった。
2人が出会う前に響が部屋で彼の著書を読んでいてからのこの一言でさらに激熱。

「初刷100万部?JR止めちゃったけど1億ちょっと印税くるなら賠償金払える良かったー」
みたいなもう天才鬼才にしかできないボケかましてくるとこも(実際笑えないけど)ブレてなくて笑っちゃう。

最後まで響の次の言葉や行動が怖くて楽しみで目が離せなくて、自分ができないことをしている彼女を見て爽快だった。
鋭く突き刺さる言葉遣いがまた聴きたくてたまらなくなる中毒性がある。

原作未読者でもここまで楽しめる実写化は傑作。
むむ

むむ