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未来のミライのmimotoxmimotoのレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
1.0
予想を上回るノットフォーミー映画だった。

今、閉じられた家族の物語を、”子ども向け”のアニメで描く必要性を理解できない。
そもそも、この物語の設定自体が不明だ。未来ちゃんはなぜタイムリープできるのか? タイムリープしてきた理由は?くんちゃんの前に現れるのは限定的なの? なんで庭に生えているかしの木なの? なんで?
何もわからない。なぜなら何も描かれないから。

細田作品にたびたび表出する女性軽視も今回は特にひどかった。お雛様のくだり、ハチのゲームのくだりは吐き気がするほど気持ちが悪い。
2018年に「お雛様を早く片付けないと嫁に行き遅れる」なんてことを批評性なしに描くなんてあり得ない。くんちゃんがくすぐりでアヘアヘになるのは単純に見てられない。くすぐりが性的なジャンルだって知らない?ネトフリのドキュメンタリー『くすぐり/Tickled』観た?
プロデューサーは何をしているのか。チームでブレストなどしないのか。現代社会で許容されてはならないエピソードをブッ込んでいると思うが、世情に疎いのか。鈍感なのか。血の繋がった家族内が幸せに描ければ外の社会など知ったこっちゃないスタンスか。

また「え、こんなにトトロでいいの」と眉をしかめたくなるほど『となりのトトロ』の要素を含ませているが(インタビューも何も読んでないので実際トトロオマージュなのか、なんらかの意図があるのかはわからない)、こんなのはわたしが子どものころに夢中で観たトトロじゃない。
一人ぼっちの国行きの新幹線は、ネコバスの対極にあるものと考えている。ネコバスは迷子になったメイを救うが、あの新幹線はくんちゃんを不要に怯えさせる。
「自らをアイデンティファイできない子どもは「一人ぼっちの国」に連れて行く」として、恐ろしいデザインの新幹線に乗せるくだりは最低の演出だ。だってくんちゃんは電車が好きなんだよ? ブーイングすればよかった。
しかもそのアイデンティファイは、血の繋がった家族と繋がることで達成される。OMG、反吐がでる。

ひいじいじの声が福山雅治っていうところだけ笑えた。

もう今後、細田作品は映画館には観に行けないと思った。とりあえず、脚本クレジットが細田守氏のみの場合は観に行かない。
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