鑑賞後、とても落ち込んだ。
くんちゃんが、あまりに不憫。
くんちゃんが泣くたびに、胸が苦しくなった。
先に生まれたんだから兄としての振る舞いを、って言う理屈は分からなくもないが、4歳の子にいきなりそれを求めるのは違うと思う。
あの父母(特に母)のくんちゃんへの接し方だと、自分は愛されていないと感じてしまうのは当然ではないか?
先に生まれた者の自覚は、自分も愛されていることが感じられて初めて生まれると思う。
そうでなければ、なんで自分だけ…などというマイナスな感情が先に立ち、相手を思いやるどころの話ではない。
両親がくんちゃんに、あなたの事ももちろん愛しているよ、と、見える形で表してあげるだけで、くんちゃんの心は晴れるはずなのだが。
くんちゃんだって、ミライちゃんを叩きたかったわけでも、嫌いたかったわけでもない。ただ、両親に振り向いて欲しかっただけなのに。
駅でのシーン、結局、『くんちゃんはミライちゃんのお兄ちゃんです』って言わせたかったんだろう。
ミライちゃんのことほんとは嫌いじゃないのを利用して、ミライちゃんが恐ろしい列車に乗らないように助けさせて。兄としての振る舞いを4歳児に強要するのはあまりに酷。
そんなにも兄としての責務は重いものなのか。だとするならば、その重責を担うために父母が最大限の愛情を彼にかけてやらねば。兄として頑張るくんちゃんを一層愛してやらないと。
くんちゃんのわがままの是非より、正すべきは両親の子供への接し方。
また、ミライちゃんが未来から来た意味、飼い犬が人になる意味、くんちゃんが犬になる意味、判然としない。
この作品は結局のところ何を伝えたかったのか。
ただただ、くんちゃんの、突然愛情を失った焦りと悲しみしか伝わってこなかった。
あと、母親がくんちゃんに話をするとき何かと、4歳児には理解が難しいのでは?と思う単語連発。
相手の立場に立って話ができないのか?
本当に観ていて可哀想だった作品。
まあ、くんちゃんの気持ちが痛いほどわかったってことは、感情移入が出来たってことなんだろうか?
そう考えるとある意味すごい作品。
二度と見ることはないが。
まあ、中庭の描写は綺麗に仕上がっていたので、よかったところはそのくらい。