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15時17分、パリ行きのhabakariのレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
4.0
重心が全く見えない。観光から時間までの平坦さは異常。クライマックスなんて冒頭の前フリとテンションがほとんど変わらない。車窓に映る風景と同じように何もかもがほぼ等速で流れていく。
観光シークエンスがピークなのはどうなのよという感もあったが、ラストの実録映像を用いたモンタージュの気色悪さに鳥肌が立った。手法自体のオリジナティは皆無で、それこそ『アメリカン・スナイパー』でも用いられてきたものだが、配役と観光シーンがもたらす本物らしさと手法の作り物感のせめぎ合いは出色の出来。小説で言うところの「奇妙な味」のような面白さ。
思えば主役3人の少年期~青年期の機械的な切り替えと、まるで演出上の断絶などなかったかのような説明の欠如も、本物らしさと作り物らしさの拮抗のように思えたり。
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