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15時17分、パリ行きのバロウズのレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
3.4
実話ベース。2015年に起こったテロ事件とそれを阻止した米国人たちの活躍をクリントイーストウッド監督が描く。
主人公3人を実際に本人たちが演じ、更に乗客から負傷者に至るまで本人自身に演じさせるという徹底的にリアリティを追求した前代未聞の作品。よくこんな企画が通ったなあ。

一見すると無駄に見えるシーンや何気ない会話がクライマックスへ帰結するのは良かったし、主人公たちの少々ぎこちない演技がかえって自然に感じられるのも面白いと思った。

ただ映画として面白いかと言われると、正直微妙。
これは…観光ビデオ?超豪華な再現VTR?
何か物凄く奇妙なものを見せられた気分。

テロの主犯が列車へ乗り込むオープニングから始まり、主人公たちの幼少期から軍隊に入隊するまでは良かったんですが、その後の観光パートが長い上に編集が雑。
さっきまで居た人物が急に居なくなってたり、さっきまで居なかった人物が突然現れたり。ボンクラ兄ちゃん達の旅行ビデオって意味ではリアルなのかもしれませんが。

ラスト、フランス大統領が謝辞を述べる実際の映像がシームレスに繋がるシーンはあまりに自然で驚きましたが、同じ勲章を与えられた英国人にはほとんど触れられていないのは気になった。「あんた誰だっけ?」状態で少し気の毒。

今までのイーストウッド監督作のような娯楽性はほぼ無いので確実に人を選ぶ内容だし、監督のフィルモグラフィーの中でもかなり異質な作品。だけど何故だか嫌いにはなれない不思議な映画だった。
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