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ナショナル・シアター・ライヴ 2018 「エンジェルス・イン・アメリカ 第一部 至福千年紀が近づく」のTOTのレビュー・感想・評価

3.8
面白かった。
レーガン政権、AIDS、若者の苦悩、差別意識と憎悪、ロイ・コーン、血を流して肉感的な世紀末の黙示録。ゲイファンタジア。
優美なアンドリュー・ガーフィールドはじめ贅沢な演者と、何より戯曲のパワーが凄い。
笑ってしまうような場面もあって楽しかった反面、AIDSが死の病と恐れられていただろう初演時に、これは笑えたんだろうか、泣き笑いだったんだろうかと、胸痛んだ。
私はまだ子供だったけど、あの当時にニュースや本、映画で知った悲しさ恐ろしさを覚えてるし、今作を観てまた呼び起こされて苦しい気持ちになった。
低めの装置と人物配置は、上部に何かの存在と到来を予感させ、隣接する部屋から部屋へ場面転換する様を余白を持たせて映すカメラワークが、惑星が響きあう小宇宙を見るよう。
ネオンカラーの中、孤独に生きる都市生活者の魂の交感。
浸透する意識のマジック。
ラストシーンの衝撃を胸に、真価を発揮するであろう3月の二部を待つ。
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