りば

ナショナル・シアター・ライヴ 2018 「フォリーズ」のりばのレビュー・感想・評価

5.0
ああ人生。あああーー人生。
持っているものの幸せに気付かず、持っていないものの可能性に期待して求め続けてしまう。
華やかな舞台の雰囲気のなか、人生の苦みや中年の危機を存分に描き、それでも最後に人生が素晴らしいと思わせてくれる素晴らしい作品でした。

冒頭ソンドハイムのインタビューが入っていたことに大変感動しました。(この時点で泣くという失態)
このインタビューで言っていた通り筋書き自体はあまりなく、同窓会で集まって喋ったりお酒を飲んで、喧嘩して帰っていく、という。まさにその通りのはなし。笑
でもそんな一晩の話に人生を描いたのがソンドハイムなのです。

人生にIFはない、のだけど同窓会は過去の輝いていたときを思い出して、ひととき、ほんのひとときだけ、もしかしたら違う人生があったのかもって思ってしまう場所かも。それも1番輝いていた舞台での再会ともなれば、若い頃の勢いとお酒の力で一歩踏み出してしまうかも、、。
そして後半の展開には驚き呆気に取られてしまった。最大限まで緊張感が高まる場面(舞台上のこういう場面が大好き)から突然華やかなフォリーズのステージが再現され、最後の瞬間までの鮮やかな流れにやられました、お見事としか、、。

他のプロダクションを観たことはないので、演出なのか脚本なのかわからないけど、過去と現在の登場人物がステージ上で同時に存在しているのが本当に鏡のようで面白かった。

日本にいながらソンドハイムのレアめな舞台作品を日本語で観れるという貴重な体験、ありがとうございました😭
サリー役のイメルダスタウントンは素晴らしかったけど、バーナデットピーターズ版が切実に観たくなってしまった!!!
りば

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