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モーターラッドのhorahukiのレビュー・感想・評価

モーターラッド(2017年製作の映画)
3.2
友だち数人とバイクを乗り回して遊んでたら、荒地で謎の黒づくめバイカー集団に襲われちゃう系ホラー。

こちらも未体験ゾーン。ホラージャンルだけは制覇したいんだけど、未だにディスクの発売情報が来てないやつあるんですよね〜。劇場行くやつとレンタル待ちするやつの選択ミスっちゃいました…。

あらすじ…
バイクの部品を盗みに入った先で殺されそうになるも、謎の美女に助けられた主人公。その後、兄や仲間たちとバイクで遊びにやってきた荒地でその美女を見かける。一緒になって荒地の中の湖で遊んでたら、トイレに行った仲間が帰って来ない。主人公が見に行くと、見知らぬバイカー集団が仲間の首を跳ねようとしているところだった…。

最初のセリフが13分経過ごろという、極端にセリフを廃した静かな映画。でも私的には嫌いじゃないです。空気感が独特で、まるで『マッドマックス』のような終末感溢れる世界観。映画の中で映るのは荒地と小屋やガレージのみで、バイク、スマホ、カメラ等の文明的なものは幾つか登場しますが、住宅等の人の営みを象徴するものは何も登場しない。そして、色味を落としたザラついた映像がさらに終末感を助長してる。

観客を突き放すような、血が通ってなくて色味のない映像を13分見せつけたられ、居心地の悪いザワザワした感情を観客に植えつけた上での最初のセリフの救われた感が私的にツボな演出。物語に一気に色が広がっていくような感覚にさせられて、一気に引き込まれました。

そして、何気に映像センスが冴え渡っています。何よりカッコイイのは敵バイカー集団の初登場シーン。低地から上を見ると崖の上に真っ黒なシルエットでバイクとともに4人がこちらを凝視してるという不気味さと恐怖。それ以外にも写真として切り抜いて飾れるような圧倒的画力で魅せる美しいシーンがとても多い。荒地+バイクという小汚いヒャッハー的題材にアートでオシャレな画的・映像的美しさという真逆な要素をミックスさせた作風が新鮮でユニーク。

でも物語的にはかなり残念。バイカー同士のバトルの割にはチェイス的な盛り上がりはほぼないし、雰囲気を意識しすぎてるがゆえに展開にスピード感がなく、そういった点でバイクという題材をあまり活かせてない。意味ありげな伏線を幾つか散りばめつつも全く回収しないというのも雰囲気作りのためと言っても少しわざとらしい。

ただ、終末世界なのか現代と変わらない世界なのかを全く示さず、荒地ヒャッハーな舞台でファンタジー的な独特な世界観を作り出し、不思議で不穏な余韻を残すという意味では役割をしっかり果たしてるので、そう言った点では間違いなく成功。そう考えると本作は、物語を添え物として、映画でしかできない映像的な世界観や雰囲気の作出を狙った作品。そういった作品が好きか嫌いかで評価は割れると思います。私は結構好き。
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