イチロヲ

愛獣 襲る!のイチロヲのレビュー・感想・評価

愛獣 襲る!(1981年製作の映画)
4.0
放蕩者の母に産み落とされ、荒んだ人生を歩んできた女性(泉じゅん)が、母の死の真相を探るべく、豪奢な男性遍歴を辿っていく。横浜の港町を舞台に、世間ズレした女によるリベンジ劇を綴っている、日活ロマンポルノ。「襲る」は「やる」と読む。

「淫売の血統から脱出不能に陥っている女性」というクリシェに則している作品。血統から逃げられないことを悟っている姉(泉じゅん)と、暗中模索とした日々を送っている妹(野々村るい)を対比させる手法が用いられている。

前半部は、血統に苦しめられている姉妹の自己実現。中盤部は、母を殺害した真犯人を追い詰めていくリベンジ劇。母と関係する元警察官を石橋蓮司が熱演しており、歪な愛情表現しかできない中年男を見事に表現している。

泉じゅんの幻惑的な肉体美は、ギリシャの女神像を彷彿とさせるほど。妹の若年グループに、若手時代の内藤剛志が混ざっているところも必見。
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