みくねえ

人魚の眠る家のみくねえのネタバレレビュー・内容・結末

人魚の眠る家(2018年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます


脳死は本当に死なのか、それとも生なのか。

去年、映画館で観たドクターデスの遺産を思い出した。
安楽死は本当に悪いことなのか。
そのときと似たような思考回路になった。

全体的に光の映像がすごくキレイ。ノスタルジックな雰囲気の映像も良かった。自分もその場にいるんじゃないかと錯覚するようなカメラワークも引き込まれる。リアリティのある薄気味悪い狂気が漂っている空気感を作り出している篠原涼子の演技力もすごい。リアリティがあるんだけど童話のようなフワフワ感も少しある。

薫子が瑞穂に包丁を突きつけるまで現実と向き合えない家族たちが胸糞だったけど、実際にあの立場になったら的確な判断なんてできないだろうし何が正しいのかもはっきりと分からない状況で自分の考えに自信を持つとか冷静に考えたら無理だ。しかも子どもだったら尚更わけわからないよね。
「私がどうして離婚しようと思ったか分かる?あなたが浮気したからじゃない。浮気がバレてからもなんの言い訳もしようとしなかったから。土下座してでも家族のこと失いたくないって必死になってほしかった。」
薫子の言葉が頭の中をグルグルまわる。

最初と最後のストーリーを考えてみたけど、瑞穂の心臓を移植した男の子は夢の中で瑞穂に会ったという見方が自然なのかな。
夢で見た引っ越し先の家の場所も瑞穂の家の位置も明確に覚えていて、体が回復してから瑞穂に会いに行くが着いた場所は空き地。瑞穂が薫子に別れを告げた夢も、男の子が見た夢も、偶然とは説明できない不思議な出来事。脳死の瑞穂は死なのか生なのか、延命と臓器提供、どちらが正しいのか、本人の意思がなく家族が判断しなければいけない状況で「本人のために」という思いで選ぶべき選択肢はどれなのか、考えさせられた。

脳が死んでいても心臓が動いていたら生きている。それは母親が死を受け入れられないからという理由のエゴではないと思う。
みくねえ

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