多タロ

タイガー 甦る伝説のスパイの多タロのレビュー・感想・評価

3.7
こちらは円盤未発売(?)な上に配信もされていないということで前作同様BS12で視聴。
二人仲良く組織を抜けて愛の逃避行を果たして8年、いつの間にやらジュニアなる息子までこさえたタイガー・ゾヤ夫婦with ROW & ISIで送るスパイアクションタイトル。前作で主人公とヒロインが結ばれた関係で夫婦愛はあれどラブロマンス要素が無くなったものの、控えめだった爆破シーンや銃撃戦を携えて帰ってきた本作はスケールも大幅アップし、アメリカ軍やイスラム過激派まで参戦。ハリウッドにも対抗でき得る派手なアクションと相変わらずな軽いノリのコメディでなかなかどうしてクオリティの高い一作となっている。


※以下ネタバレ
冒頭よりインド映画では少々珍しいスノボアクションが挟まれつつタイガー親子3人が仲睦まじく暮らす姿が描かれるのだが、今日ではナチス並みに便利な悪役・イスラム過激派による人質を擁したテロ事件が起こったからさぁ大変。8年ぶりにROWに駆り出されたタイガーは自ら選出したチームで救出作戦に挑むのだが、何故だかこの面子に前作の相棒の名前が無く、結局彼については物語の最後まで一切触れられないのだからこれは大きなマイナスポイント。今作では前作ラストに投げかけられる印パ融和のメッセージ性が早くも体現され、ROWとISIの即席タッグチームが編成されたりもするのだが、そこそこの数のメンバーを持て余している感もあり、(御大と呼ばれるハッカーや見た目そっくりな仲買人風のROW工作員といった)一部を除いて印象が薄いために余計に相棒が恋しくなってしまうのだ。なお、印パの対立以外にも少年兵問題やイスラム圏の旧時代的な性差別といった重い問題提起がなされるものの、あくまで娯楽作ということもありそのどれもがちょっとした寄り道感覚で、すぐさまストーリーの本筋に戻ったと思うとコメディ展開が挟まれるために見ている側の心の置きどころが少々難しい。あと単純にダンスシーンが少ないのも寂しいところ。
と、マイナス面をあげつらってしまったものの全体的な物語構成は決して悪いものではなく、終盤印パ両国の旗を掲げて帰還するくだりなどベタではあるもののグッとくるシーンも少なくない。前述した通り(前作の成功で予算が増えたのか)爆破シーン含めたアクションは大きくパワーアップしており完成度は高く、タイガーゾヤ夫婦の愛情が感じられる箇所も多々あるためサルマン・カーン&カトリーナ・カイフファンの満足できる作りになっているのではないだろうか。ラストで家族の一員となったことが判明した少年兵含むタイガーファミリーによるこれからの物語に期待。裏切りのスパイではスカーフというか布アクション増えてると良いなぁ。
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