素潜り旬

月夜釜合戦の素潜り旬のレビュー・感想・評価

月夜釜合戦(2018年製作の映画)
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一回歌い踊れば何度だって歌い踊ってよいはずである。何故なら、一度歌い踊ってみせたから。一度歌い踊った者は、また踊るという認定を受ける。こいつはまた歌い出すかもしれないという疑念を生む。つまりこいつから音楽が発生するかもしれないという疑念をも生み、音楽の可能性を生み出す。これが「ミュージカル」である。長くなったが、これが「ミュージカル」なのである。ミュージカルが嫌いだという人の理由の大半「突然歌い踊るからわけわかんねえ」がどれだけ見当違いかということがわかるだろうか。本来、(生きる上で触れ合っているのだから)理解せずとも楽しめるはずのミュージカルを拒否することによって心理的トラウマを呼び起こさないように自己防衛しているに過ぎない(だから見当違いというのとも少し違うのだが)。ミュージカルが嫌いな人々は、常日頃から悲しい時には音楽が寄り添っているのだろう。しかし実際には彼らこそがミュージカルに最も近いのである。
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