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愛の嵐 ノーカット完全版のYLxxのレビュー・感想・評価

愛の嵐 ノーカット完全版(1994年製作の映画)
4.4
Blu-rayを買ってみたがやはり素晴らしい作品だ
二人が出会い相手を確かめ合った瞬間愛は狂気であると知らされる。この映画初めて見た時意味が分からなかったが見た後も脳裏に二人の再会シーンが焼き付き、またマリオ殺害後のシーンもなぜか忘れられなくなっていた(なのにラストは完全に忘れていた)。この印象はラストタンゴインパリととにかく個人的体験としては似ているものでこの作品を他人に話す際必ずと言っても良いほど2作品の名を出して語っていたがなんとブックレットに編集を同様の人物がしていると記されており。どこまで影響があるかはわからないが偏愛そして男が一人歩く姿などの共通点が多い理由はそこにあったのかもしれない。この映画バイオレンス/官能映画として括られるが偏愛ものにナチスを絡めただけであり、なんなら絡め方はかなり雑でただバイオレンス性を持たせる装置として組み込まれたように思える。元ドイツ軍の野郎どもの動きや発言はコミカルで何度も見ると愛おしく感じられる。また官能というが意外と性描写は多くなく激しくもない。しかしナチスというワードを用いることによりバイオレンスを視聴者側は容易に想像でき間接的に描くことを可能とし、また間接的に描くことが美しさにも繋がる。空中ブランコでぶち上がらないやついる?
恋愛ではなく偏愛と書くのはこの映画が描く部分はひと時の大恋愛が突然の出会いにより記憶を復活させ、あたかも時がまた進み始めたかのように描くからである。普通の恋愛映画なら感動の再会だろうがこの映画は時間がまた進み始めるのではなく、ただ時間に囚われ逆に巻き戻し過去を捨てることができない話なのだ。戦争をやめられない男と同じくシャーロットランプリングもまた戦争がもつバイオレンスな日々を忘れられないのであった。