Horace

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイのHoraceのレビュー・感想・評価

3.1
62点

暴力には虚しさ、無意味さがある。「麻薬戦争」は敵のいない戦争であり、アメリカは勝ち目のない戦いをしている。暴力はより大きな暴力を生むだけであり、ひとつの不道徳な行為が何十もの同じような行為を生み、最後には誰もが汚れる。この映画にはヒーローがいない。

それがこの映画の目的であってほしいが、的外れだ。1作目の『ボーダーライン』のような視点や意識が欠けている。本作のアクションは1作目と同じようによく撮れていてエキサイティングだが、1作目を優れたものにした微妙だが重要なディテールが、本作ではすべて間違っている。

唯一演技が映画を失敗から救っている。ジョシュ・ブローリンは、にやにや笑いを浮かべるタフガイの政府捜査官役で今回も素晴らしい演技を見せ、ベニチオ・デル・トロはシカリオのアレハンドロ役で受賞に値する演技を見せている。デル・トロは1作目から不満の残るキャラクター造形をしているが、それでも威厳があり、怒りっぽく、機転が利く。幸いなことに、彼はまた、人間らしさを絶望的に必要としている映画に数滴の人間らしさを与えている。たいていの俳優には、これらすべての感情をうまく切り替えられる万能性はない。
Horace

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