社会のダストダス

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

3.9
前作の紅一点は続投せず、本格的に顔が怖いおじさん達がジャケ画の前面に。しかしながら改名前のイザベラ・メルセードちゃんがとても印象的。おじさんたちが無法地帯なので、イザベラちゃんをドキドキハラハラしながら見守ることになった。

相変わらずスーパーヘビーな内容だけど、画面から感じるプレッシャーは前作のほうが強かったかもしれない。前作は麻薬カルテルのエグイ描写とかが目立ったけど、今作はどっちかというとアメリカ政府がそれを超えてヤバい。

途中で任務の方針が変わったから、関わった工作員と人質は始末しといてねあとはよろしくって感じで、結局メキシコまで誘拐と殺人だけしに行った作戦は衝撃、それって麻薬カルテルじゃん。司法の建前と体裁を守るためにすべてを無かったことにしようとする胸の熱くなるストーリー。

前作では最終的に美味しいところを持って行ったベニチオ・デル・トロ演じる工作員は、今回は結果的に嵌められた立場のような可哀想な役回り、極限の状況下での生き残りの道を模索する。とはいえ前作のラストの事があるから、イザベラちゃんに乱暴な真似をしねえか、私は常にそちらに神経をとがらせていたが。

ジョシュ・ブローリンも今回は非情な面を覗かせる。どこぞの世界線の紫ゴリラよりもあっさり一線を越えた決断をし、理不尽な命令でも最終的には割り切ってしまう。自分自身も情けを掛けたい相手も同じ消耗品で、例え自分でやらなくても代わりを立てられるだけというのを理解してか。

前作はエミリー・ブラント演じる主人公が善悪の境界に立つ形で葛藤が描かれたが、本作は誰もブレーキを踏んでくれる人がいないのでなるようになるしかないという、ある意味でのジェットコースタームービー。