Elijah

ヘル・フロント 地獄の最前線のElijahのレビュー・感想・評価

4.5
2019年劇場鑑賞幕開けを飾る作品。
戦争映画と言うよりは兵士の心情に重きを置いた人間ドラマ。
美化されることなくただそこにある“日常”と“現実”を描き切る。
それぞれが担っている役割と関係性。
役者の誰もが好演していて見応えがある。
特にポール・ベタニーの“おじさん”ぶりが素晴らしい。
お目当てのサム・クラフリンとトム・スターリッジが2人きりで互いの心境を吐露する場面も印象に残る。
塹壕の明るみの無い暗さがそのままそっくりひしひしと観客側にも伝わってくる。
役者の顔を知っていても見分けがつかなくなってくるほど。
観れば観るほど、なぜそこまでして“あちら側”に行かなければならないのかとさえ思えてくる不条理。
戦争ほど人の心を壊し無意味なものはない。
邦題は原題を活かしてほしかった。
正しく「旅の終わり」でサム・クラフリンの表情と俯瞰のラストシーンが脳裏から離れない。
たった3回の上映(大阪)では勿体ないと思えるくらいのメッセージがこの作品の中に詰まっている。
体感しておいてほんとに良かった。
出来ることなら『ダンケルク』(2017)と同時期に観たかったけれど(『ザ・トレンチ 塹壕』と続けて観るのもあり)。
Elijah

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