ナツミオ

ヘル・フロント 地獄の最前線のナツミオのレビュー・感想・評価

3.9
WOWOW録画鑑賞
第一次世界大戦の西部戦線の終盤、1918年春。
イギリス軍とドイツ軍はお互い塹壕を挟んですぐ目の前の最前線で膠着状態にあり、近々敵の攻勢が始まると噂されていた。
イギリス軍の中隊を指揮するスタンホープ大尉の部隊に新兵の補充兵達が到着する。その中に故郷に残して来た恋人の弟であるライリー少尉が新兵訓練を終えてきた。
まだ実戦経験の無いライリー。
年配の副官らは優しくこの戦場や指揮官の大尉について話して聞かせる。
そこへ大隊の大佐より敵の攻勢前に捕虜を取るための斥候を出すよう命令が出て、副官と兵10名とライリー少尉が選ばれてしまう。
そして、いよいよ作戦の開始時間が迫る・・・

当時の塹壕戦の実態や兵士たちの食事場面など日常が描かれるが、捕虜を取る作戦から、翌日の敵の攻勢まで淡々と描かれる。

観終わって、暫く緊張感が解けなかった。

酒浸りのスタンホープ大尉を観て、何故か河島英五の歌の歌詞が思い出された、「忘れてしまいたい事や、どうしようもない悲しみに・・・」

ライリー少尉の着任後、その場を離れてから我慢していたウィスキーを煽る様に飲む大尉。
その後、少尉が姉に書いた手紙を検閲が必要だと、取り上げる大尉。
自分の変わりようを書いていないか副官に尋ねる大尉。
副官は読みながら答える、「ベテランの副官や他の士官達に大尉の評判を聞いて、大隊一の勇敢で殊勲を挙げた大尉であると。少し疲れているようですが」というような内容で問題ないと投函される。

他のエピソードで、戦場が耐えられないと、大尉に入院を直訴する士官、淡々と行動し常に感情を出さない士官、斥候前に緊張するライリーに優しく故郷の田舎の散歩道の森の話で緊張をほぐしてやる元教師の副官など、中隊の中の士官達の人物像が描かれる。

淡々と描く事で終盤の展開である戦争の真実が観る者にも突き刺さってくる。
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