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ヘル・フロント 地獄の最前線のSPNminacoのレビュー・感想・評価

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第一次大戦中西部戦線の英国軍塹壕を舞台に、大尉とその甥の兵士らがドイツ軍の総攻撃を受けるまでの4日間。殆ど戦闘シーンのない戦争映画。上官は既に独軍の攻撃計画を知っていて、ただその日を待っている。ウィスキーと紅茶を飲み、お抱えシェフ兵が作る食事を味わい、ベーコンやアプリコットや胡椒に拘り、会話劇が延々続く。といっても、彼らがやがて全滅することはわかってる。ただ待つことの憂鬱と死の気配が狭く薄暗い塹壕の中に充満する。
上流っぽいアクセントのサム・フランクリン、ポール・ベタニー、エイサ・バターフィールドやトビー・ジョーンズ、大尉たちの塹壕暮らしぶりが如何にも英国らしかった。ラグビーの話がちらっと出て来るようにブラザーフッド的なニュアンスも含まれる。そしてその日に迎え撃つしかできない不条理さ(知ってるなら退避すりゃいいのにそうはいかないんだろうね)。近代兵器VS騎士道みたいなナンセンス不条理も。たぶん元は舞台劇だと思うので最後まで地味な映画だが、塹壕でも外のシーンだけ開放感があるってのが皮肉。
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