Kumonohate

鉄の爪のKumonohateのレビュー・感想・評価

鉄の爪(1951年製作の映画)
3.9
戦時中、南洋で獣(ゴリラ)に襲われ、その血を浴びたことから獣化妄想にとりつかれた男。戦後、生きるため男に抱かれる妻を見守りつつ、陰ながらその幸せを願う。だが、心の奥底には裏腹な感情が潜み、獣化の発作が起きると…。というモンスター・ホラー。

全く期待しないで見たのが奏功。人間の内面をえぐり悲哀を湛えたなかなかの良作。1951年の作品ゆえ、映像的にはチャチで見劣りするが、テーマやストーリーや演技はそれを補って余りある。こうした怪人変化モノに傑作名作良作が多いのは、人間と異形とを行き来するその姿が、単に不気味というだけでなく、その心理が象徴的に描かれ感情移入しやすいからだろうか。

ただし、日本軍が展開した南洋の島々にゴリラはいないけどね。
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