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君が君で君だのpauhのネタバレレビュー・内容・結末

君が君で君だ(2018年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

冒頭から既に面白すぎて、帰ってきた時刻を記し持ち物や買ったスーパーまで確認して、“姫”と同時にラーメンを用意し3人同時で急いで食べるという、その後もひたすら続く歪み過ぎた愛情の激重さがコメディとして面白かったです。
それぞれのキャラのぶっ飛び具合も笑えて、まず姫の好きな尾崎・ブラピ・坂本に扮してるのも面白いし、彼氏よりも物の位置まで全て把握していたり時折暴走する坂本もそれを宥める国民にも笑えました。
なんだかんだ回想では一番まともそうだった尾崎が一番狂っていて、どんどんその異常さを増していく言動に怖さすら感じつつ、一緒に髪を食べさせられたりとぶっ飛びに着いて行かされるブラピが面白かったです。
癖の強い奴ばかりなものの登場人物の中で一番坂本が面白く、一人だけなりきり度が凄い“ぜよ”語尾だったり、暴走ゆえに首輪を2年もされてたりベランダから落とされたりと割と不憫キャラでもあったり、姫への接し方が抱きしめ方と言い話し方といいキモすぎたり尾崎とはまた違った癖の強さが癖になりました。
入院中の看護師さんの「気分はどうですか?」に対する坂本の「少し、切ないです」という返しもその後のじゃあ大丈夫ですねも含め笑えました。
しかし第三者だからこうやって笑えるものの、姫からすればひたすら地獄で、異国の地で一人頑張って行こうと思えばどんどん汚い現実に汚され、彼氏もクズ男へと変貌ししまいには集団ストーカーのキツすぎる現場も目撃してしまうという、あまりにも可哀想過ぎる仕打ちで、部屋を荒らす姿を観ていて胸が痛みました。
ただその後の尾崎の奇行は飛び出していく時の勢いも含め爆笑する程面白かったです。
しかし最後まで観ていて思ったのが、姫への愛情というよりもそれぞれまさに恋に恋している状態にも思え、ああやって3人で協力し騒ぎあっている日常への執着も感じ、死に瀕する姫を助けに行かない様子にも本当の意味で姫を愛している訳じゃないんじゃないかな?と思いました。
キラキラも爽やかさも一切無い歪んだ青春が少し楽しそうに思える、面白い作品でした!
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